付録D:FAQ(よくある質問と回答)
D-1. Schirogaの基本について
| No. | 質問 | 回答 |
|---|---|---|
| 1 | Schirogaとは何ですか? | 問いを構造的に設計するための汎用フレームワークです。名称はラテン語のSchema(図式)とInterroga(問い)を結合した造語で、「問いの図式」を意味します |
| 2 | Schirogaは誰が使うものですか? | 問いを設計する全ての人が使えます。教育者、研究者、哲学的対話を行う人、グループワークのファシリテーター、自分自身に問いを立てたい人など、用途は問いません |
| 3 | Schirogaを使うのに専門知識は必要ですか? | 不要です。第1章の記法ルールを理解し、付録B-1の空テンプレートに沿って記入すれば、誰でも使い始められます。付録Cのサンプル問題を参考にするのが最も早い方法です |
| 4 | Schirogaは「正解のある問題」にしか使えませんか? | いいえ。むしろ正解のない問い(哲学的問い、価値判断を含む問い等)にこそ力を発揮します。定義・前提・条件を明示することで、正解がなくても議論の土俵を共有できるようになります |
| 5 | 全ての項目を埋めないと使えませんか? | 必須項目([ ]記法)は全て埋める必要があります。任意項目(( )記法)は省略可能です。最低限、出題文・出題意図・定義・前提・条件・問い・回答フォーマットがあれば問題として機能します |
D-2. 記法について
| No. | 質問 | 回答 |
|---|---|---|
| 6 | [ ]と( )の判断に迷ったときはどうすれば? |
「その項目がないと問題が成立しないか」を基準にしてください。成立しないなら[ ]、なくても成立するなら( )です。第1章 1-3の判定フローも参照してください |
| 7 | < >の選択肢に該当するものがない場合はどうすれば? |
「その他」を選択し、具体的な内容を[ ]で補記してください。例:「その他: 音楽理論」 |
| 8 | 選択肢を複数選んでよいのはどの項目ですか? | 「複数選択可」と明記されている項目のみです。現在のv1.0では、問題分類タグ(3-1)が複数選択可です。明記がない場合は原則として単一選択です |
D-3. 管理情報について
| No. | 質問 | 回答 |
|---|---|---|
| 9 | バージョンはいつ上げればよいですか? | 定義・前提・条件・問いに変更が入った場合はメジャーバージョン(v1.0→v2.0)を上げてください。表現の修正や誤字訂正など本質に影響しない変更はマイナーバージョン(v1.0→v1.1)で対応します |
| 10 | 倫理的配慮の「該当なし」は本当に書く必要がありますか? | はい。空欄だと「配慮が不要」なのか「出題者が検討し忘れた」のかが区別できません。「該当なし」と書くこと自体が、出題者が意識的に検討した証拠になります |
| 11 | 心理的負荷の「低・中・高」の基準はありますか? | 厳密な基準はありません。出題者の自己評価です。目安として、日常的な話題は「低」、価値観の対立や個人的な内省を求める問いは「中」、死生観・トラウマ・強い感情を扱う問いは「高」を推奨します |
D-4. 定義・前提・条件について
| No. | 質問 | 回答 |
|---|---|---|
| 12 | 定義と前提の違いがわかりません | 定義は「言葉の意味を固定する」宣言です。前提は「事実として共有する情報」です。定義は辞書的な取り決め、前提はその言葉を使って述べる事実・仮定・価値と考えてください |
| 13 | 前提と条件の違いがわかりません | 前提は「問題の外でも成り立ちうる共有情報」であり、条件は「この問題の中でのみ有効な制約」です。前提は土俵、条件はその土俵の上のルールです。第4章 4-6の比較テーブルを参照してください |
| 14 | 種別ラベルはどれを選べばよいですか? | 客観的に検証できる事実なら【事実】、この問題のための仮の設定なら【仮定】、価値判断を含むなら【価値】です。迷った場合は【仮定】にしておくと安全です。出題者が意図的に設定したものとして扱われます |
| 15 | 定義を一般的な意味と違う意味で使ってもよいですか? | はい。定義は「この問題の中ではこの意味で使う」という宣言なので、一般的な定義と異なっていても構いません。ただし、異なる場合はその旨を明記してください |
| 16 | 前提はいくつまで設定してよいですか? | 上限はありませんが、多すぎると回答者の負荷が増します。目安として3〜5個を推奨します。それ以上必要な場合は、問題を分割できないか検討してください |
D-5. 問いの設計について
| No. | 質問 | 回答 |
|---|---|---|
| 17 | 出題文が一文にまとまりません | 一文にまとまらない場合、問いが複合化している兆候です。主問と副問に階層化するか、複数の単独問題に分割することを検討してください。第4章 4-8の判定フローが参考になります |
| 18 | 主問と副問はどう使い分けますか? | 主問は「最終的に答えてほしいこと」、副問は「主問に答えるための足場」です。副問を考えることで主問に必要な材料が揃う、という構造を意識してください |
| 19 | ヒントはどの程度まで書いてよいですか? | 思考の「方向」を示すのがヒントです。答えの「内容」を示してしまうとヒントではなく答えになります。「日常の中で〇〇を思い出してみよう」は良いヒント、「〇〇が原因である」は悪いヒントです |
| 20 | 出題意図は回答者に見せるべきですか? | 出題者が判断します。回答前に見せると思考を誘導する恐れがあり、回答後に見せると理解の深化につながります。迷った場合は回答後に公開することを推奨します |
D-6. オプション機能について
| No. | 質問 | 回答 |
|---|---|---|
| 21 | 反論可能条件は必ず設定すべきですか? | 任意です。ただし、前提に【価値】ラベルを含む場合は設定を推奨します。回答者が価値的前提に異議を唱えたいとき、その可否が不明だと回答の方針が定まりません |
| 22 | 禁則事項に理由を書く必要はありますか? | はい。理由のない禁則は回答者にとって恣意的な制約に見えます。「何を禁じるか」と「なぜ禁じるか」を必ずセットで記述してください |
| 23 | 評価基準(ルーブリック)は正解のない問題にも使えますか? | 使えます。ただし「この回答でなければならない」という正解の提示ではなく、「出題者がどの観点を重視しているか」の開示として使ってください。論理性・独創性・整合性などの観点で段階を示す形が有効です |
| 24 | 想定回答時間は正確でなければなりませんか? | いいえ。あくまで目安です。「どの程度の深さを期待しているか」を間接的に伝える役割なので、「5分程度」「30分〜1時間」のような幅のある記述で十分です |
D-7. 回答後の解説について
| No. | 質問 | 回答 |
|---|---|---|
| 25 | 誤回答パターンはいくつ用意すべきですか? | 最低2つを推奨します。問題の性質によっては3〜5個程度が適切です。多すぎると出題者の負荷が増し、少なすぎると解説の精度が下がります |
| 26 | 「誤回答」という言葉がきつく感じられるのですが | Schirogaでは誤回答パターンの項目に注記を設けています。誤回答は必ずしも間違いではなく、別の方向に創造性が発揮された結果であることも認めています。この姿勢はSchirogaの尊重の原則に基づくものです |
| 27 | 核心論点と出題意図は同じではないのですか? | 多くの場合は重なりますが、同一ではありません。出題意図は「出題前に持っていた狙い」、核心論点は「回答を経て明らかになる問題の本質」です。回答者の回答によって、出題者が当初想定しなかった論点が浮上することがあります |
| 28 | 発展的考察には何を書けばよいですか? | 「答えの延長」ではなく「新たな問い」を書いてください。この問題を通じて得た視点を、さらに別の方向に展開させる導線の役割を果たす内容が理想です |
D-8. 関連問題・振り返りについて
| No. | 質問 | 回答 |
|---|---|---|
| 29 | 関連問題はまだ作成していなくてもリンクしてよいですか? | はい。「(未作成)」と明記した上でリンクしておくことで、将来の問題設計の導線を確保できます。付録Cのサンプル問題でもこの方法を採用しています |
| 30 | 関連問題の四種類(前提・発展・並行・対立)は全て設定すべきですか? | 任意です。該当するものだけ設定してください。一つもなくても問題として成立します |
| 31 | 振り返り欄は出題者が記入するものですか? | いいえ。振り返り欄は回答者が自分の思考過程を振り返るために記入する場所です。出題者は場所を用意するだけで、記入内容は回答者に委ねます |
| 32 | 振り返り欄は必ず回答者に記入してもらうべきですか? | 任意です。ただし、メタ認知を促す効果があるため、教育目的や思考力の成長を意図する場合は記入を推奨してください |
D-9. テンプレートの使い方について
| No. | 質問 | 回答 |
|---|---|---|
| 33 | 出題者用テンプレート(付録B-1)と回答者用テンプレート(付録B-2)はどう使い分けますか? | 付録B-1は出題者が問題を設計するために使います。付録B-2は回答者に渡すためのもので、出題意図・解説・誤回答パターンなど回答前に見せるべきでない項目が除外されています |
| 34 | 回答者用テンプレートに反論可能条件や禁則事項がないのはなぜですか? | 開示するかどうかは出題者の判断に委ねているためです。開示する場合は、出題者が手動で回答者用テンプレートの適切な位置に転記してください |
| 35 | テンプレートの項目を独自に追加してもよいですか? | はい。Schirogaはフレームワークであり、問題の性質に応じて項目を追加・省略する柔軟性を持っています。ただし、必須項目の省略は問題の不完全化につながるため推奨しません |
| 36 | Schirogaを紙で使いたいのですが | 付録B-1・B-2をそのまま印刷して使用できます。Mermaidフローは印刷環境で表示されない場合がありますが、テーブルとテキスト部分だけで問題設計は可能です |
D-10. 運用・応用について
| No. | 質問 | 回答 |
|---|---|---|
| 37 | 一人で使う場合(自分に問いを立てる場合)も全項目が必要ですか? | 必須項目は埋めることを推奨しますが、出題意図や誤回答パターンは簡略化しても構いません。自分に対して問いを立てる場合でも、定義・前提・条件を明示する習慣は思考の精度を大きく向上させます |
| 38 | グループワークでSchirogaを使う場合のコツはありますか? | 定義セクションの合意形成を最初に行うことが最大のコツです。「この言葉をどの意味で使うか」を全員で確認してから議論に入ると、すれ違いが激減します |
| 39 | Schirogaを使って問題を作ったが、回答者の反応が想定と違った場合はどうすれば? | 改訂履歴に記録した上で、定義・前提・条件のどこにズレがあったかを分析してください。多くの場合、「出題者が明示したつもりだが回答者に伝わっていなかった前提」が原因です。これは明示の原則が活きる場面です |
| 40 | Schirogaのバージョンアップはどう管理すれば? | Schiroga自体のバージョン(現在v1.0)と、個別の問題のバージョンは別管理です。Schirogaがv2.0になっても、v1.0で作成した問題はそのまま有効です。問題側のバージョンは問題自体の変更に応じて管理してください |
FAQカテゴリ別件数サマリ
| カテゴリ | 件数 |
|---|---|
| D-1. Schirogaの基本について | 5 |
| D-2. 記法について | 3 |
| D-3. 管理情報について | 3 |
| D-4. 定義・前提・条件について | 5 |
| D-5. 問いの設計について | 4 |
| D-6. オプション機能について | 4 |
| D-7. 回答後の解説について | 4 |
| D-8. 関連問題・振り返りについて | 4 |
| D-9. テンプレートの使い方について | 4 |
| D-10. 運用・応用について | 4 |
| 合計 | 40 |