第9章:フレームワーク一覧:セールス・マーケティング系
9-1. 概要
買わせる技術。行動させる技術。それがセールス・マーケティングである。
人は論理では動かない。感情で動き、論理で正当化する。この章では、相手の感情を動かし、行動へと導くフレームワークを扱う。
9-2. フレームワーク一覧
| 名前 | 構造・要素 | 用途 |
|---|---|---|
| PASONA法(パソナほう) | Problem → Affinity → Solution → Offer → Narrowing → Action | セールスレター、LP |
| AIDA法(アイダほう) | Attention → Interest → Desire → Action | チラシ、DM、広告 |
| AISAS法(アイサスほう) | Attention → Interest → Search → Action → Share | Webマーケティング、SNS |
| QUEST法(クエストほう) | Qualify → Understand → Educate → Stimulate → Transition | LP、教育系商材 |
| BEAF法(ビーフほう) | Benefit → Evidence → Advantage → Feature | ECサイト商品説明 |
| AIDMA(アイドマ) | Attention → Interest → Desire → Memory → Action | マス広告、テレビCM |
9-3. 各フレームワークの詳細
PASONA法
神田昌典氏が提唱した、日本発のセールスライティングの型。感情を揺さぶり、行動へ導く。
| 要素 | 英語 | やること | 例 |
|---|---|---|---|
| P | Problem | 悩み・問題を提起する | 「毎朝、起きるのがつらくないですか?」 |
| A | Affinity | 共感を示す | 「私もそうでした。何をやっても疲れが取れなくて…」 |
| S | Solution | 解決策を提示する | 「そんな私を変えたのが、この睡眠改善プログラムです」 |
| O | Offer | 具体的な提案をする | 「今なら30日間のお試しプランをご用意しています」 |
| N | Narrowing | 限定性を出す | 「ただし、今月は先着100名様限定です」 |
| A | Action | 行動を促す | 「今すぐお申し込みください」 |
graph TD
A[P:問題提起] --> B[A:共感]
B --> C[S:解決策]
C --> D[O:提案]
D --> E[N:限定]
E --> F[A:行動促進]
AIDA法
1898年にE.S.ルイスが提唱した、広告の古典的フレームワーク。
| 要素 | 英語 | やること | 例 |
|---|---|---|---|
| A | Attention | 注意を引く | 「衝撃!たった3日で5kg減」 |
| I | Interest | 興味を持たせる | 「その秘密は、朝の10分にありました」 |
| D | Desire | 欲求を刺激する | 「あなたも、理想の体型を手に入れませんか?」 |
| A | Action | 行動を促す | 「詳しくはこちらをクリック」 |
sequenceDiagram
participant 広告
participant 消費者
広告->>消費者: A:「え、何?」(注意)
広告->>消費者: I:「へぇ、面白そう」(興味)
広告->>消費者: D:「欲しいかも…」(欲求)
広告->>消費者: A:「買おう!」(行動)
AISAS法
電通が提唱した、インターネット時代の購買行動モデル。検索と共有が加わった。
| 要素 | 英語 | やること | 例 |
|---|---|---|---|
| A | Attention | 注意を引く | SNS広告で目に留まる |
| I | Interest | 興味を持たせる | 「これ良さそう」と思わせる |
| S | Search | 検索させる | Google、口コミサイトで調べる |
| A | Action | 行動させる | 購入・申込み |
| S | Share | 共有させる | SNSで感想を投稿 |
graph LR
A[Attention] --> B[Interest]
B --> C[Search]
C --> D[Action]
D --> E[Share]
E --> A
ポイント:Shareが次のAttentionを生む循環構造。口コミが新たな顧客を呼ぶ。
AIDMA
サミュエル・ローランド・ホールが提唱した、マス広告時代の購買行動モデル。AIDAにMemory(記憶)が加わった。
| 要素 | 英語 | やること | 例 |
|---|---|---|---|
| A | Attention | 注意を引く | テレビCMで目に留まる |
| I | Interest | 興味を持たせる | 「面白そう」と思わせる |
| D | Desire | 欲求を刺激する | 「欲しい」と感じさせる |
| M | Memory | 記憶に残す | 繰り返しの露出で定着させる |
| A | Action | 行動させる | 店頭で購入する |
sequenceDiagram
participant 広告
participant 消費者
広告->>消費者: A:「え、何?」(注意)
広告->>消費者: I:「へぇ、面白そう」(興味)
広告->>消費者: D:「欲しいかも…」(欲求)
Note over 消費者: M:記憶に残る(時間経過)
消費者->>消費者: 「あ、あのCMの…」(想起)
広告->>消費者: A:「買おう!」(行動)
ポイント:AIDA法との違いはMemory(記憶)の有無。テレビCMのように接触から購買までに時間差がある場合、記憶に残すステップが重要になる。AISAS法が「検索→共有」のWeb時代モデルなら、AIDMAは「記憶→行動」のマス広告時代モデルである。
QUEST法
マイケル・フォーティンが提唱した、教育型セールスの型。
| 要素 | 英語 | やること | 例 |
|---|---|---|---|
| Q | Qualify | ターゲットを絞り込む | 「もしあなたが○○で悩んでいるなら」 |
| U | Understand | 悩みに共感する | 「その気持ち、よく分かります」 |
| E | Educate | 情報を提供し教育する | 「実は、原因は○○にあるんです」 |
| S | Stimulate | 感情を刺激する | 「このまま放置すると、こうなります」 |
| T | Transition | 行動へ変化させる | 「今すぐ始めましょう」 |
sequenceDiagram
participant セールス
participant 見込客
セールス->>見込客: Q:「あなたは対象者ですか?」
Note over 見込客: 自分ごと化
セールス->>見込客: U:「その悩み、分かります」
Note over 見込客: 信頼感
セールス->>見込客: E:「実はこういう仕組みなんです」
Note over 見込客: 納得
セールス->>見込客: S:「今やらないとこうなりますよ」
Note over 見込客: 危機感
セールス->>見込客: T:「さあ、始めましょう」
Note over 見込客: 行動
BEAF法
ECサイトの商品説明に特化したフレームワーク。ベネフィットを先に伝える。
| 要素 | 英語 | やること | 例 |
|---|---|---|---|
| B | Benefit | 得られる未来を示す | 「朝の準備が10分短縮できます」 |
| E | Evidence | 証拠を示す | 「利用者の92%が時短を実感」 |
| A | Advantage | 競合との優位性を示す | 「他社製品より30%軽量」 |
| F | Feature | 特徴を説明する | 「最新のチタン素材を採用」 |
graph LR
A[B:あなたの未来] --> B[E:証拠]
B --> C[A:他との違い]
C --> D[F:詳しい特徴]
ポイント:FABE法と順序が逆。BEAFは「あなたにとって何が良いか」から始まる。顧客視点が強い。
9-4. FABE法とBEAF法の違い
| 項目 | FABE法 | BEAF法 |
|---|---|---|
| 起点 | Feature(特徴) | Benefit(利益) |
| 視点 | 商品→顧客 | 顧客→商品 |
| 適した場面 | 技術説明、BtoB | EC、BtoC |
9-5. 使い分けの基準
| 状況 | 推奨フレームワーク | 理由 |
|---|---|---|
| セールスレター、LP | PASONA法 | 感情を揺さぶる構成 |
| 短い広告、チラシ | AIDA法 | シンプルで覚えやすい |
| Web、SNSマーケティング | AISAS法 | 検索・共有を考慮 |
| 教育系、高額商材 | QUEST法 | 教育で納得させる |
| ECサイト商品説明 | BEAF法 | 顧客利益を先に伝える |
| マス広告、テレビCM | AIDMA | 購買までの時間差を考慮 |
9-6. セールスの基本コンボ
QUEST法 → PASONA法:教育してから売る
sequenceDiagram
participant セールス
participant 見込客
Note over セールス: QUEST法で教育
セールス->>見込客: Q:「○○で悩んでいませんか?」
セールス->>見込客: U:「私も同じでした」
セールス->>見込客: E:「原因はこれなんです」
セールス->>見込客: S:「放置するとこうなります」
セールス->>見込客: T:「解決策があります」
Note over セールス: PASONA法でクロージング
セールス->>見込客: O:「今ならこの特別プランを」
セールス->>見込客: N:「先着50名限定です」
セールス->>見込客: A:「今すぐお申し込みを」
9-7. まとめ
セールス・マーケティングの基本は「感情を動かし、論理で正当化させる」こと。
- 感情を揺さぶりたい → PASONA法
- シンプルに訴求したい → AIDA法
- Web時代の購買行動 → AISAS法
- 教育して納得させたい → QUEST法
- 顧客利益を先に伝えたい → BEAF法
- 記憶に残したい → AIDMA
人は感情で買い、論理で正当化する。その順序を忘れないこと。