第16章:実例集
ここで紹介するのはあくまで一例です。状況や相手に応じて、自分なりの組み合わせを見つけてください。
16-1. 概要
フレームワークは知っているだけでは使えない。実際の場面でどう組み合わせるかが重要だ。
この章では、5分類それぞれについて具体的な使用例を示す。
16-2. Aggressive(自分から仕掛ける)の実例
実例A-1:初対面の雑談
| 項目 |
内容 |
| 状況 |
仕事の懇親会で、初めて会う人と話すことになった |
| 目的 |
自然に会話を始め、良い印象を残す |
| コンボ |
ペーシング → 木戸に〜 → AAA法 → さしすせそ |
sequenceDiagram
participant 自分
participant 相手
Note over 自分: ペーシング
Note right of 自分: 相手の話すスピードに合わせる
Note over 自分: 木戸に〜(気候)
自分->>相手: 「今日は暑いですね」
相手->>自分: 「本当ですね、外回りが大変で」
Note over 自分: AAA法
自分->>相手: 「外回りされてるんですね(Answer)」
自分->>相手: 「この時期は体力勝負ですよね(Add)」
自分->>相手: 「どのエリアを担当されてるんですか?(Ask)」
相手->>自分: 「新宿周辺ですね」
Note over 自分: さしすせそ
自分->>相手: 「新宿ですか、激戦区ですね。すごいなぁ」
実例A-2:作品の公開告知
| 項目 |
内容 |
| 状況 |
Web小説の新作を公開する |
| 目的 |
読者の興味を引き、読んでもらう |
| コンボ |
AIDA法 |
graph TD
A[Attention:注意を引く] --> B[Interest:興味を持たせる]
B --> C[Desire:欲求を刺激する]
C --> D[Action:行動を促す]
| 要素 |
例文 |
| Attention |
「”死んだはずの幼馴染が、10年後に現れた。”」 |
| Interest |
「記憶を失った彼女は、なぜ自分の名前だけを覚えていたのか──」 |
| Desire |
「切なくも温かい再会の物語。あなたも、忘れられない人がいませんか?」 |
| Action |
「第1話はこちら→【リンク】」 |
16-3. Defensive(相手の球を返す)の実例
実例D-1:批評への返信
| 項目 |
内容 |
| 状況 |
自作の小説に「展開が遅い」という批評が来た |
| 目的 |
角を立てずに受け止め、関係を維持する |
| コンボ |
バックトラッキング → さしすせそ → DESC法 |
sequenceDiagram
participant 読者
participant 自分
読者->>自分: 「展開が遅くて途中で飽きました」
Note over 自分: バックトラッキング
自分->>読者: 「展開が遅く感じられたんですね」
Note over 自分: さしすせそ(そうなんですか)
自分->>読者: 「貴重なご意見ありがとうございます」
Note over 自分: DESC法
自分->>読者: 「今回は伏線を丁寧に描くことを意識していました(D:描写)」
自分->>読者: 「ただ、テンポの悪さに繋がってしまったかもしれません(E:表現)」
自分->>読者: 「次作では緩急をつけることを意識してみます(S:提案)」
自分->>読者: 「また読んでいただけたら嬉しいです(C:結果)」
実例D-2:苦手な上司との会話
| 項目 |
内容 |
| 状況 |
いつも高圧的な上司に話しかけられた |
| 目的 |
萎縮せずに対応する |
| コンボ |
アナザー・アングル・メソッド → ペーシング → バックトラッキング |
sequenceDiagram
participant 脳内
participant 自分
participant 上司
Note over 脳内: アナザー・アングル・メソッド
脳内->>自分: (この人も家では娘に無視されてるのかも…)
Note right of 自分: 恐怖を無効化
上司->>自分: 「おい、あの件どうなった」
Note over 自分: ペーシング
Note right of 自分: 声のトーンを合わせる
Note over 自分: バックトラッキング
自分->>上司: 「あの件ですね、現在進行中です」
自分->>上司: 「明日までに完了予定です」
16-4. Recovery(立て直す)の実例
実例R-1:話題が尽きた時
| 項目 |
内容 |
| 状況 |
会話が途切れて沈黙が続いている |
| 目的 |
自然に会話を再開する |
| コンボ |
聴くモードチェンジ → 連想ゲーム法 → AAA法 |
sequenceDiagram
participant 自分
participant 相手
Note over 自分,相手: 沈黙...
Note over 自分: 聴くモードチェンジ
Note right of 自分: 話す責任を手放す
Note over 自分: 連想ゲーム法
Note right of 自分: さっき「旅行」の話をしていた→「食べ物」に連想
自分->>相手: 「そういえば、旅行先で美味しかったものとかあります?」
相手->>自分: 「北海道の海鮮丼が最高でしたね」
Note over 自分: AAA法
自分->>相手: 「海鮮丼いいですね(A)、やっぱり鮮度が違うんですかね(A)、おすすめの店とかあります?(A)」
実例R-2:頭が真っ白になった時
| 項目 |
内容 |
| 状況 |
プレゼン中に次に何を言うか忘れた |
| 目的 |
パニックにならず、立て直す |
| コンボ |
3ステップ無視 → 深呼吸 → 直前の内容を繰り返す |
sequenceDiagram
participant 脳内
participant 自分
participant 聴衆
Note over 脳内: パニック発生
脳内->>自分: (次何言うんだっけ...)
Note over 自分: 3ステップ無視
Note right of 自分: 型を忘れて、思いついたことを話す
自分->>聴衆: 「...少し整理させてください」
Note right of 自分: 深呼吸
自分->>聴衆: 「先ほどお伝えした通り、ポイントは3つあります」
Note right of 自分: 直前の内容を繰り返して時間を稼ぐ
Note over 脳内: 思い出した
自分->>聴衆: 「1つ目は...」
16-5. Buff(一言添える)の実例
実例B-1:部下を褒める
| 項目 |
内容 |
| 状況 |
部下が良いプレゼンをした |
| 目的 |
具体的に褒めて、モチベーションを上げる |
| コンボ |
SBI型 + さしすせそ |
sequenceDiagram
participant 上司
participant 部下
Note over 上司: SBI型
上司->>部下: 「さっきのプレゼンで(S:状況)」
上司->>部下: 「データをグラフ化して見せてたよね(B:行動)」
上司->>部下: 「おかげでクライアントの理解が早かった(I:影響)」
Note over 上司: さしすせそ
上司->>部下: 「センスいいね、さすがだよ」
実例B-2:感想への返信
| 項目 |
内容 |
| 状況 |
読者から「面白かったです」とコメントが来た |
| 目的 |
感謝を伝え、関係を深める |
| コンボ |
バックトラッキング → さしすせそ → 一言追加 |
sequenceDiagram
participant 読者
participant 自分
読者->>自分: 「面白かったです!続き楽しみにしてます」
Note over 自分: バックトラッキング
自分->>読者: 「面白かったと言っていただけて」
Note over 自分: さしすせそ
自分->>読者: 「本当に嬉しいです、ありがとうございます!」
Note over 自分: 一言追加
自分->>読者: 「次回は来週更新予定です。また読んでいただけたら幸いです」
16-6. Debuff(相手を動かす)の実例
実例De-1:口下手な相手から話を引き出す
| 項目 |
内容 |
| 状況 |
あまり話さない同僚と二人きりになった |
| 目的 |
相手に話してもらう |
| コンボ |
クローズドQ → オープンQ → FORD法 → バックトラッキング |
sequenceDiagram
participant 自分
participant 相手
Note over 自分: クローズドQ(温める)
自分->>相手: 「週末、どこか出かけました?」
相手->>自分: 「いえ、家にいました」
Note over 自分: クローズドQ(続ける)
自分->>相手: 「ゆっくりできました?」
相手->>自分: 「はい、まあ」
Note over 自分: オープンQ(広げる)
自分->>相手: 「家では何してることが多いですか?」
相手->>自分: 「ゲームとか...」
Note over 自分: FORD法(Recreation)
自分->>相手: 「へぇ、どんなゲームやるんですか?」
相手->>自分: 「RPGが好きで、最近は○○をやってます」
Note over 自分: バックトラッキング
自分->>相手: 「○○ですか!あれ面白いですよね」
実例De-2:交渉で優位に立つ
| 項目 |
内容 |
| 状況 |
取引先と価格交渉をする |
| 目的 |
自社に有利な条件を引き出す |
| コンボ |
BATNA確認 → ZOPA把握 → ハーバード流 |
sequenceDiagram
participant 自分
participant 取引先
Note over 自分: BATNA確認(事前準備)
Note right of 自分: 決裂しても他社B社がある
Note over 自分: ZOPA把握(事前準備)
Note right of 自分: 自社上限100万、相手下限おそらく80万
Note over 自分,取引先: 交渉開始
Note over 自分: ハーバード流・原則2(利害に注目)
自分->>取引先: 「御社としては、何を最も重視されていますか?」
取引先->>自分: 「納期の確実性ですね」
Note over 自分: ハーバード流・原則3(相互利益)
自分->>取引先: 「では、納期を2週間早める代わりに、価格を5%下げていただくのはいかがでしょう」
Note over 自分: ハーバード流・原則4(客観的基準)
自分->>取引先: 「この価格帯は業界標準でもあります」
16-7. まとめ
実例から学ぶべきは「流れ」である。
- Aggressive:自分から仕掛け、会話を始める
- Defensive:相手の球を受け止め、返す
- Recovery:困った時に立て直す
- Buff:一言添えて、場を温める
- Debuff:質問で相手を動かす
5分類を意識すれば、どんな状況でも対応できる。