表現規制に関する学術的政策批評
| 用語 | 読み方 | 意味 |
|---|---|---|
| カタルシス仮説 | かたるしすかせつ | 創作物や代替的体験を通じて欲求・衝動を処理することで、実際の行動が抑制されるという仮説 |
| モデリング仮説 | もでりんぐかせつ | 暴力的・性的表現への接触が模倣行動を促進するという仮説。バンデューラの社会的学習理論に由来 |
| カタルシス機能 | かたるしすきのう | 創作物が持つ、受容者の欲求を代替的に処理し実行を防止する機能 |
| PTSD | ぴー・てぃー・えす・でぃー | Post-Traumatic Stress Disorder。心的外傷後ストレス障害。トラウマ体験後に生じる精神障害 |
| グルーミング | ぐるーみんぐ | 性的搾取を目的として、対象者(特に未成年者)との信頼関係を段階的に構築する加害手法 |
| 認知的不協和 | にんちてきふきょうわ | 矛盾する認知を同時に抱えた際に生じる心理的不快感。フェスティンガーが提唱 |
| 二次被害(セカンドレイプ) | にじひがい | 性被害者が、通報・相談時に周囲から受ける追加的な精神的損害 |
| ペドフィリア | ぺどふぃりあ | 思春期前の児童に対する持続的な性的関心を特徴とする精神医学上の診断名。性的嗜好そのものを指し、行動(加害)とは区別される |
| 承認欲求 | しょうにんよっきゅう | 他者から認められたい、価値ある存在として受け入れられたいという欲求。マズローの欲求階層説における第4段階に位置づけられる |
| 用語 | 読み方 | 意味 |
|---|---|---|
| Z指定 | ぜっとしてい | CERO(コンピュータエンターテインメントレーティング機構)による18歳以上対象のレーティング区分 |
| 不同意性交等罪 | ふどういせいこうとうざい | 2023年刑法改正で新設。同意なき性交を処罰する罪。旧強制性交等罪および準強制性交等罪を統合・再編 |
| 性行同意年齢 | せいこうどういねんれい | 性的行為に法的に有効な同意を与えられるとされる最低年齢。日本では2023年改正で16歳に引き上げ |
| いじめ重大事態 | いじめじゅうだいじたい | いじめ防止対策推進法に基づき、生命・身体・財産に重大な被害が疑われるいじめとして認定される事態 |
| 児童ポルノ禁止法 | じどうぽるのきんしほう | 児童買春・児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律の通称 |
| わいせつ物頒布罪 | わいせつぶつはんぷざい | 刑法175条。わいせつな文書・図画等を頒布・販売・公然陳列する行為を処罰 |
| 懲戒免職 | ちょうかいめんしょく | 公務員に対する最も重い懲戒処分。職を失い、退職金も不支給となる |
| モザイク規制 | もざいくきせい | 日本の刑法175条(わいせつ物頒布罪)に基づき、性器の映像に修正処理を施すことを事実上義務づける慣行。法律の条文に「モザイク」の文言はなく、業界の自主規制と司法判断の蓄積により定着した |
| 集団訴訟 | しゅうだんそしょう | 共通の被害を受けた多数の原告が一つの訴訟手続きで被告を訴える訴訟形態。米国のクラスアクション等が代表例 |
| 用語 | 読み方 | 意味 |
|---|---|---|
| プライベートゾーン | ぷらいべーとぞーん | 身体の中で他者に見せたり触らせたりしてはいけない部分(性器・胸・臀部・口) |
| 包括的性教育 | ほうかつてきせいきょういく | UNESCO等が推進する、人権・同意・関係性・身体を含む総合的な性に関する教育 |
| はどめ規定 | はどめきてい | 学習指導要領における「性交」を直接扱わないとする制限規定。性教育の深度を制限 |
| スクールセクハラ | すくーるせくはら | 学校環境内で発生するセクシュアル・ハラスメントの総称。教師→生徒、生徒→教師、生徒間を含む |
| 精通 | せいつう | 男子が初めて射精を経験すること。一般的に10〜15歳頃に起こる第二次性徴の一つ |
| 教権侵害 | きょうけんしんがい | 主に韓国で用いられる概念。生徒・保護者による教師の教育権・人格権への侵害行為を指す。暴言、暴力、セクハラ等を含む |
| 用語 | 読み方 | 意味 |
|---|---|---|
| RLHF | あーる・える・えいち・えふ | Reinforcement Learning from Human Feedback。人間のフィードバックを用いた強化学習。AIの出力調整に使用 |
| フィルタリング | ふぃるたりんぐ | 特定のコンテンツへのアクセスを技術的に遮断する仕組み。完全な遮断は技術的に不可能 |
| コンテンツモデレーション | こんてんつもでれーしょん | プラットフォーム上の投稿・コンテンツを審査・管理する行為。基準は運営者が設定 |
| IPアドレス規制 | あい・ぴー・あどれすきせい | 特定のIPアドレスからのアクセスを遮断する規制手法。VPN等で容易に回避可能 |
| 自撮り送信 | じどりそうしん | 自身の裸体や性的な写真・動画を撮影し、SNS等を通じて他者に送信する行為。未成年者が行った場合、児童ポルノ製造に該当しうる |
| 用語 | 読み方 | 意味 |
|---|---|---|
| ダブルスタンダード | だぶるすたんだーど | 同種の事象に対して異なる基準を適用すること。二重基準 |
| 判断能力(同意能力) | はんだんのうりょく | ある事柄について、リスクと結果を理解した上で自律的に判断・同意できる能力 |
| パターナリズム | ぱたーなりずむ | 本人の利益のためとして、本人の自由や自律を制限する態度・政策。「父権主義」とも訳される |
| 道徳的相対主義 | どうとくてきそうたいしゅぎ | 道徳的判断は文化・時代・個人によって異なり、普遍的な道徳基準は存在しないとする立場 |
| 有害性の定義問題 | ゆうがいせいのていぎもんだい | 「有害」というラベルを付与する権限の所在と、その根拠の不在に関する哲学的問題 |
| 因果関係と相関関係 | いんがかんけいとそうかんかんけい | 二つの事象が同時に生じる(相関)ことと、一方が他方を引き起こす(因果)ことは別であるという区別 |
| 循環論法 | じゅんかんろんぽう | 結論を前提の中に含めてしまう論理的誤謬。「AだからB、BだからA」の構造。本資料では「判断能力がないから教えない→教えないから判断能力がない」がこれに該当 |
| 用語 | 読み方 | 意味 |
|---|---|---|
| エロゲー | えろげー | 性的描写を含むアダルトPCゲームの通称。年齢確認・レーティング・品質管理が存在する |
| AV(アダルトビデオ) | えーぶい | 成人向け映像作品。出演者の同意・年齢確認・契約が法的に要求される |
| 子ども写真集 | こどもしゃしんしゅう | 未成年者を被写体とした写真集。「芸術」として許容される一方、被写体の同意能力に疑問がある |
| CERO | せろ | Computer Entertainment Rating Organization。日本のゲームソフトレーティング機構 |
| 表現の自由 | ひょうげんのじゆう | 憲法21条で保障される、思想・意見を外部に表明する自由。規制との緊張関係にある |
| レーティング | れーてぃんぐ | コンテンツの対象年齢を区分する制度。日本ではCERO(ゲーム)、映倫(映画)等が運用。法的強制力はなく業界の自主規制 |
| GTA(Grand Theft Auto) | じー・てぃー・えー | Rockstar Games開発のオープンワールド型アクションゲームシリーズ。殺人・強盗・暴力等のシミュレーションを含み、Z指定(18歳以上対象)。本資料では暴力表現と性的表現の規制格差を示す比較対象として使用 |
| 用語 | 読み方 | 意味 |
|---|---|---|
| 暗数 | あんすう | 実際に発生しているが統計に計上されない犯罪件数。性犯罪では報告率が極めて低いため暗数が大きい |
| YRBS | わい・あーる・びー・えす | Youth Risk Behavior Survey。米CDCが実施する青少年リスク行動調査 |
| NPDB | えぬ・ぴーでぃー・えー | National Practitioner Data Bank。米国の医療従事者不正行為データベース |
| NIJ | えぬ・あい・じぇい | National Institute of Justice。米国司法省の研究機関 |
| 用語 | 読み方 | 意味 |
|---|---|---|
| 構造的悪循環(8段階因果連鎖) | こうぞうてきあくじゅんかん | 性教育の不在が無知→被害→原因転嫁→教育回避を生み、再び無知に戻る自己強化ループ |
| 全方向性加害モデル | ぜんほうこうせいかがいもでる | 性的加害が教師→生徒、生徒→教師、生徒間、医師→患者、患者→医師など全方向で発生するという構造認識 |
| 規制の非対称性 | きせいのひたいしょうせい | 同等の行為・表現に対して、ラベル(芸術・商業等)によって規制が異なる現象 |
| 教育による判断能力形成論 | きょういくによるはんだんのうりょくけいせいろん | 「子どもに判断能力がない」を前提としつつ「教育で判断能力を育てる」という逆説的主張 |