第3章:記法体系
Ver. 3.0で導入される記法の全体像を定義する。全てMarkdownの既存記法を活用しており、新しい記号を覚える必要はない。
3.1 記法一覧
| 記法 | 用途 | 物語の層 | 帰属ルール |
|---|---|---|---|
テーブル(|話者|セリフ|) |
セリフ | 現在・発話 | 話者列で明示 |
> |
地の文 | 現在・描写 | 【話者】明記。同一ブロック内で同一話者なら冒頭のみ。ブロック分離時は再明記必須 |
>> |
心の声(思考先行型) | 内面 | 【話者】明記(必須) |
>>> |
記憶の断片 | 過去・脳裏 | 直前の>>または地の文から判別。不明時は【話者】明記(任意) |
コードブロック(\`\`\`) |
帰属先のない孤立した断片 | 不明・別次元 | 帰属先なし(意図的に不明) |
<ruby> |
ふりがな | 読みの補助 | ― |
--- + 太字 |
場面転換 | 時空の切り替え | ― |
3.2 地の文(>)
地の文は>引用ブロックで記述し、【話者】を明記する。これはVer. 3.0の基本仕様であり、省略できない。引用ブロックにより、地の文はセリフテーブルから視覚的に分離される。
形式
> 【話者】地の文をここに書く
役割
| 役割 | 説明 |
|---|---|
| 情景描写 | 場所・天候・雰囲気など、場面の視覚的情報 |
| 状況説明 | 今何が起きているかの客観的記述 |
| 心理描写 | キャラクターの内面・感情・思考 |
| 時間経過 | 時間の流れや場面の推移 |
| 動作描写 | キャラクターの行動・仕草・身体的動き |
| 心の声 | 声に出していない内的な言葉(テーブル化しない場合) |
帰属ルール
| 条件 | ルール |
|---|---|
| 同一ブロック内・同一話者 | 冒頭に一度【話者】を明記すれば、以降は省略可 |
| 同一ブロック内・視点切替 | 切り替わる都度【話者】を明記する |
| ブロック分離後・同一話者 | テーブル等で地の文が分断された場合、同じ話者でも再度【話者】を明記する |
使用例(同一ブロック内)
> 【太郎】教室は静まり返っていた。風が窓を揺らしている。
> 嫌な予感がした。
使用例(ブロック分離後の再明記)
> 【太郎】教室は静まり返っていた。
| 話者 | セリフ |
|---|---|
| 花子 | ねえ、太郎 |
> 【太郎】何だろう、急に話しかけてきた。
特徴
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 視覚的分離 | テーブル(セリフ)と引用ブロック(地の文)が明確に区別される |
| 視点の明確化 | 【話者】明記により、文脈を理解しなくても誰の視点か即座に判別可能 |
| 環境耐性 | レンダリングされなくても>が地の文の目印として機能する |
| 既存記法 | Markdownの標準記法のため新しいツール不要 |
3.3 心の声(>>)
セリフより先に心の中で思考が発生する場合に使用する。思考先行型の心の声。
形式
>> 【話者】心の声をここに書く
帰属ルール
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 【話者】明記 | 必須。文脈に依存せず誰の心の声か即座に判別可能にする |
使用例
>> 【太郎】言っちゃダメだ。
| 話者 | セリフ |
|---|---|
| 太郎 | 好きだ |
心の声の三手段における位置づけ
| 時間的関係 | 手段 | 本節の対象 |
|---|---|---|
| 思考が先、発話が後 | >> 引用ブロック |
✓ |
| セリフと同時 | 横配置テーブル | 第4章 4.2参照 |
| 発話が先、思考が後 | 縦配置ドッキング | 第4章 4.2参照 |
3.4 記憶の断片(>>>)
キャラクターの脳裏に浮かぶ過去の断片を表現する。現在の時間軸にいながら、内面で一瞬フラッシュする記憶。
形式
>>> 記憶の断片をここに書く
帰属ルール
| 条件 | ルール |
|---|---|
直前に>>がある場合 |
>>の話者に帰属する |
直前に地の文(>)がある場合 |
地の文の話者に帰属する |
| 上記で不明な場合 | 【話者】を明記する(任意) |
使用例(>>から帰属)
>> 【太郎】また思い出してしまう。
>>> あの日、彼女は笑っていた。「また明日ね」と手を振って。
使用例(地の文から帰属)
> 【太郎】窓の外を見つめていた。
>>> あの日、彼女は笑っていた。「また明日ね」と手を振って。
> 【太郎】その記憶を振り払うように、太郎は立ち上がった。
3.5 孤立した断片(コードブロック)
物語の時間軸から完全に切り離された、帰属先のない断片を表現する。誰の声かも、いつの出来事かも、意図的に不明のまま置かれる。
形式
```
孤立した断片をここに書く
```
帰属ルール
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 帰属先 | なし(意図的に不明) |
| 目的 | 読者に「これは何だろう」という問いを投げかける |
用途
| 用途 | 説明 |
|---|---|
| 冒頭の謎めいた断片 | 物語の導入として機能する、切り離された情報 |
| 出所不明の声 | 誰が語っているか分からない言葉 |
| 別次元の語り | 通常の物語空間とは異なる層からの干渉 |
注記: 台本形式ではコードブロックをモノローグ(キャラクター本人の内面の独白)にも使用する。ただし台本モノローグは演出テーブルで話者を指定するため帰属先があり、本節で定義する「帰属先のない孤立した断片」とは性質が異なる。詳細は第5章 5.4を参照。
使用例
```
いつか届くといいな、この声が。
```
> 【陽介】駅のホームに、見覚えのある背中が見えた。
3.6 ふりがな(<ruby>)
難読漢字・造語・当て字に読み仮名を付与する。
形式
<ruby>漢字<rt>ふりがな</rt></ruby>
用途
| 用途 | 説明 |
|---|---|
| ふりがな | 難読漢字への読み仮名付与 |
| 特殊読み | キャラクター名・造語・当て字の読み方明示 |
使用例
<ruby>水篠<rt>みずしの</rt></ruby>は窓の外を見つめていた。
特徴
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| W3C標準 | 日中韓圏が存在する限り廃止されない記法 |
| アクセシビリティ | 読めない漢字の心配を解消 |
3.7 場面転換
場所・時間・状況が変わるとき、視覚的な区切りを設ける。
形式
---
**場所・時間・状況など**
水平線(---)と太字見出しの組み合わせで表現する。
規則
| 規則 | 説明 |
|---|---|
| 水平線 | 視覚的な区切りを示す |
| 太字見出し | 新しい場面の情報を提示する |