付録C:FAQ
C.1 原則・体系
| No. | 質問 | 回答 |
|---|---|---|
| 1 | ストラクブルと従来の小説フォーマット(「」でセリフを書く形式)の最大の違いは? | セリフをテーブル形式にすることで、全てのセリフに話者が明記される点。従来形式では文脈から話者を推測する必要があるが、ストラクブルでは誰が話しているかを即座に判別できる。加えて、セリフと非セリフの完全分離により認知負荷が軽減される。 |
| 2 | 完全分離の原則に違反するとどうなる? | 文書情報の禁忌事項に記載されている三つの問題が生じる。セリフと地の文の混在は完全分離の原則に反し、心の声をセリフ列に入れることは判定基準違反となり、地の文の【話者】を省略すると視点が不明確になる。いずれも認知負荷の増加と読みやすさの低下を招く。 |
| 3 | 自分なりにアレンジしてもいい? | 第2章2.5の原則(完全分離・判定基準・話者明示・心の声の分離・演技指示の分離・地の文の話者明示)は不変。これらを守る限り、任意の記法の採否や組み合わせは自由。ライセンスもCreative Commons(改変・再配布自由)であり、自分のスタイルに合わせた運用が可能。 |
| 4 | 従来形式とストラクブル形式を混在させていい? | 非推奨。完全分離の原則に反し、読者の認知負荷が増える。 |
| 5 | Ver. 2.0で作った作品はVer. 3.0に変換できる? | できる。地の文を>引用ブロックに変換し【話者】を追加する、思考先行型の心の声を>>に移行する等の対応で変換可能。 |
| 6 | Ver. 3.0の機能を使わずVer. 2.0の範囲で書いてもいい? | 引用ブロック(>)による地の文と【話者】明記はVer. 3.0の基本仕様のため必須。>>、>>>、コードブロックの使用は任意。 |
C.2 セリフの判定
| No. | 質問 | 回答 |
|---|---|---|
| 1 | 電話越しの声はセリフ? | セリフ。声に出しているため、セリフテーブルに入れる。話者列に「(電話越し)」と状況付記すると分かりやすい。 |
| 2 | 手紙の文面はどう扱う? | 非セリフ。声に出していないため、小説では地の文(>、引用形式推奨)、台本ではナレーションテーブルで処理する。 |
| 3 | 叫び声(「うわああ!」等)はセリフ? | セリフ。声に出しているため、セリフテーブルに入れる。 |
| 4 | ため息はセリフ? | 「声に出したか否か」の既存基準を適用する。「はぁ……」のように意図的に声に出したため息はセリフテーブルに入れる。単なる生理現象は地の文や演出で処理する。 |
| 5 | 独り言はセリフ? | セリフ。声に出しているため、セリフテーブルに入れる。 |
| 6 | テレパシーや念話はセリフ? | 非セリフ。声に出していないため、地の文またはナレーションで処理。ただし、作品世界の設定により判断。 |
| 7 | 回想シーンの会話はどう扱う? | セリフ。過去であっても声に出した発話はセリフテーブルに入れる。場面転換で回想であることを明示する。 |
| 8 | 歌はセリフ? | セリフ。声に出しているため、セリフテーブルに入れる。長い場合は地の文で「〜と歌った」と処理しても良い。 |
| 9 | 看板やポスターの文字は? | 非セリフ。声に出していないため、小説では地の文で描写する。 |
| 10 | 声の出ない人(筆談・手話)のコミュニケーションはセリフ? | 非セリフ。判定基準は「声に出したか否か」であり、筆談・手話は声に出していない。小説では地の文で描写し、台本ではナレーションや演出で処理する。ただし、作品世界の設定として「手話をセリフ扱いする」と定義することは作者の裁量による。 |
| 11 | 録音やボイスメッセージの再生はセリフ? | 再生される音声は元の発話者が声に出したものであるため、セリフテーブルに入れられる。話者列に「(録音)」「(ボイスメッセージ)」等の状況付記をすると、その場で直接話しているのではないことが明確になる。 |
C.3 心の声
| No. | 質問 | 回答 |
|---|---|---|
| 1 | 心の声はセリフテーブルに入れていい? | セリフ列には入れない。横配置では心の声専用列に、縦配置では話者列に「心の声」と記載して表現できる。思考先行型は>>引用ブロックで表現する。 |
| 2 | 心の声の三手段はどう使い分ける? | 時間的関係で判断する。心の中で思ってから声に出す場合は>>引用ブロック、セリフと心の声が同じ瞬間に存在するなら横配置、声に出した後に心に湧いた言葉なら縦配置を使う。 |
| 3 | 横配置で心の声がないキャラの行はどうする? | 心の声列を空欄にする。 |
| 4 | 縦配置の心の声は誰のもの? | 直前のセリフの話者に帰属する。 |
| 5 | >>の心の声は誰のもの? |
【話者】の明記により帰属する。【話者】の明記は必須。 |
| 6 | 心の声をテーブルにも>>にも入れず地の文に書いてもいい? |
いい。構造化は必須ではなく、構造的に明示したい場合に使用する。地の文に含めることも引き続き有効。 |
| 7 | 心の声だけをテーブルで表現したい場合は? | 縦配置は直前のセリフへの帰属を前提とするため、セリフ行がなければ帰属先が存在しない。セリフを伴わない心の声は>>引用ブロックまたは地の文に含める。 |
| 8 | 横配置・縦配置・引用ブロックを同じ作品内で混在させていい? | いい。場面や表現意図に応じて使い分けてよい。 |
| 9 | 複数キャラの心の声を同時に表現したい場合は? | 横配置テーブルでは各行にそれぞれのキャラの心の声を記載できる。心の声がないキャラの行は空欄とする。視点が異なる複数キャラの内面を交互に描く場合は、語り手交代(付録D.7参照)の手法と組み合わせて対応する。 |
C.4 地の文
| No. | 質問 | 回答 |
|---|---|---|
| 1 | 地の文はなぜ>引用ブロックで書くのか? |
セリフテーブルとの視覚的分離を明確にするため。レンダリングされなくても>が地の文の目印として機能する環境耐性も持つ。 |
| 2 | 地の文の【話者】は毎行書く必要がある? | 同一ブロック内で同一話者なら冒頭に一度書けば省略可。ただし視点が切り替わる場合はその都度明記する。テーブル等で地の文が分断された場合は、同じ話者でも再度明記が必要。 |
| 3 | 地の文の【話者】は誰を書く? | その場面の視点人物を書く。誰の目から見た描写かを明示する。三人称全知視点など特定の視点人物がいない場合は【語り手】と記載可。 |
C.5 記憶の断片・孤立した断片
| No. | 質問 | 回答 |
|---|---|---|
| 1 | >>>の記憶の断片は誰のもの? |
直前の>>の話者、または地の文の話者に帰属する。それでも不明な場合は【話者】を任意で明記できる。 |
| 2 | >>>とコードブロックの違いは? |
>>>はキャラクターの脳裏に浮かぶ過去の断片で、帰属先がある。コードブロックは物語の時間軸から完全に切り離された、帰属先のない孤立した断片。 |
| 3 | コードブロックの断片は誰が語っているか書く必要がある? | 小説形式では書かない。帰属先がないことが小説形式におけるコードブロックの定義であり、誰の声かも、いつの出来事かも、意図的に不明のまま置かれる。台本形式ではモノローグとして使用し、演出テーブルで話者を指定する(C.6 No.1参照)。 |
| 4 | コードブロックは台本ではモノローグとして使うのに、小説では帰属先なしなのはなぜ? | 台本形式ではコードブロックの直前に演出テーブルで話者を指定するため帰属が明確になる。小説形式ではその仕組みがないため、帰属先のない孤立した断片として機能する。 |
| 5 | 記憶の断片が長い場合(回想シーンとの境界)はどう判断する? | >>>は「現在の時間軸にいながら、内面で一瞬フラッシュする記憶」(第3章3.4)であり、短い断片的な想起に適している。長く展開される過去のシーンは回想として場面転換(付録D.6参照)で処理する。一瞬の想起か、場面として展開するかが判断基準。 |
| 6 | 記憶の断片の中にセリフがある場合、テーブルにする? | >>>は断片的な記憶の一瞬のフラッシュであるため、その中のセリフ的要素は地の文として>>>内に含める。サンプル(付録A.5)でも「また明日ね」がテーブル化されずに記憶の描写として書かれている。長い会話を含む回想は>>>ではなく場面転換で処理する。 |
C.6 台本形式
| No. | 質問 | 回答 |
|---|---|---|
| 1 | 台本形式で心の声を表現したい場合は? | モノローグとしてコードブロックで表現する。演出テーブルで話者を指定する。台本形式に横配置・縦配置・>>引用ブロックは使用しない。 |
| 2 | モノローグとナレーションの違いは? | ナレーションは第三者視点の語り。モノローグはキャラクター本人の内面の独白。ナレーションはナレーションテーブル、モノローグはコードブロックで表現する。 |
| 3 | 演技指示列は必須? | 必須ではない。演技指示が不要なセリフでは空欄でよい。空欄時も3列構造を維持する。 |
| 4 | 演技指示列に何を書けばいい? | 声のトーン、表情、視線、身体の動き、感情の質など、演技に関わる情報を書く。 |
| 5 | 演技指示が長くなりすぎる場合は? | 要点を簡潔にまとめる。詳細な演出意図は演出テーブルやナレーションテーブルで補足する。 |
| 6 | 台本で「間」の長さはどう指定する? | 演出テーブルで「間|3秒」のように具体的に指定する。 |
| 7 | モノローグが連続する場合(複数キャラが交互に独白)はどう書く? | 演出テーブル(モノローグ|話者名)→コードブロックのセットを、キャラごとに繰り返す。第5章5.4で定義された形式をそのまま適用する。 |
C.7 小説形式と台本形式の使い分け
| No. | 質問 | 回答 |
|---|---|---|
| 1 | 小説形式に台本の要素(演技指示列・演出テーブル)を使っていい? | 使わない。演技指示列・演出テーブルは台本形式の専用仕様。小説形式では地の文で動作・感情・演出的要素を描写する。 |
| 2 | ナレーションと地の文の違いは? | 地の文は語り手の記述(小説、>引用ブロック)、ナレーションは演者が読み上げる前提の第三者視点の語り(台本)。役割は似ているが、使用する形式が異なる。 |
| 3 | 一つの作品内で小説形式と台本形式を混在させていい? | 非推奨。小説形式と台本形式はテーブル構造・記法体系が異なり(第6章参照)、混在させると読者の認知負荷が増える。従来形式との混在が非推奨である理由と同様。 |
C.8 複雑なシーン・視点の処理
| No. | 質問 | 回答 |
|---|---|---|
| 1 | 複数人が同時に喋る場合は? | 話者列に複数名を記載(例:「全員」「A・B」)する。詳細は付録D.2参照。 |
| 2 | 小説でテーブルが連続しすぎて読みにくい場合は? | 間に地の文(>)を挟む。動作や情景を一文入れるだけでリズムが生まれる。 |
| 3 | 3人以上の会話で誰が誰に話しているか分かりにくい場合は? | セリフ内に呼びかけを入れる(例:「太郎、お前どう思う?」)か、地の文で補足する。 |
| 4 | モブキャラが大勢いる場合の話者名は? | 識別子を使う(男A、女B、群衆等)。詳細は付録D.5参照。 |
| 5 | 一人称小説と三人称小説で扱いは変わる? | 変わらない。「声に出したか否か」の判定基準は視点に関係なく適用される。 |
| 6 | 語り手が交代する小説ではどうする? | 場面転換で視点を明示する(例:「太郎視点」)。地の文の【話者】明記により、視点の切り替えも明確になる。 |
| 7 | 会話が途中で遮られる(割り込み)場合はどう表現する? | セリフ列の中でダッシュ(——)等を使い、発話が途切れたことを示す。次の行に割り込んだキャラのセリフを記載する。付録D.2のサンプル(「じゃあ明日、駅前に——」)にこのパターンが示されている。 |
C.9 ふりがな
| No. | 質問 | 回答 |
|---|---|---|
| 1 | ふりがなはどう書く? | <ruby>漢字<rt>ふりがな</rt></ruby>で記述する。W3C標準のHTMLタグ。 |
| 2 | ふりがなはセリフテーブルの中でも使える? | 使える。セリフ列・地の文・心の声など、文字が存在するあらゆる場所で使用可能。 |
C.10 互換性・環境・適用範囲
| No. | 質問 | 回答 |
|---|---|---|
| 1 | 既存の小説をストラクブル形式に変換できる? | できる。セリフ部分を抽出してテーブル化し、地の文を>引用ブロックに変換する。 |
| 2 | ゲームシナリオにも使える? | 適用可能。台本形式をベースに、ゲーム固有の要素(選択肢等)を追加する形で拡張できる。 |
| 3 | 漫画原作にも使える? | 適用可能。ネーム作成時にセリフと描写指示を分離する用途で活用できる。 |
| 4 | Markdownが使えない環境では? | Word、Googleドキュメント、スプレッドシート等、テーブルが作成できる環境であれば使用可能。テーブル非対応環境の代替表現は付録E参照。 |
| 5 | AIにストラクブル形式で小説を書かせることはできる? | できる。ストラクブルの対象読者にはAIが含まれており、ライセンス上もAIの深層学習及びインプットが自由とされている。仕様書をAIに読み込ませた上で執筆を指示すれば、ストラクブル形式での創作が可能。 |