付録A:サンプル
A.1 小説サンプル(基本)
公園のベンチ 昼下がり
【春香】木漏れ日がベンチに座る二人を照らしていた。風が吹くたびに、桜の花びらが舞い落ちる。
| 話者 | セリフ |
|---|---|
| 春香 | ねえ、覚えてる?ここで初めて会ったの |
| 大輝 | 覚えてるよ。お前が泣いてたんだよな |
| 春香 | 泣いてない!ちょっと目にゴミが入っただけ |
| 大輝 | はいはい |
【春香】大輝が笑いをこらえているのが分かった。悔しくて頬が膨らむ。
| 話者 | セリフ |
|---|---|
| 春香 | ……ありがとね |
| 大輝 | 急にどうした |
| 春香 | 別に。なんとなく |
【春香】立ち上がって伸びをした。大輝に気づかれないよう、そっと目元を拭った。
A.2 小説サンプル(心の声・横配置)
教室 放課後
【健太】西日が教室を橙色に染めていた。机に残っているのは二人だけ。
| 話者 | セリフ |
|---|---|
| 美咲 | ねえ、ちょっといい? |
| 健太 | ん?どうした? |
| 美咲 | あのね…明日の日曜日、暇? |
| 健太 | まあ、特に予定はないけど |
| 美咲 | じゃあ…一緒に出かけない? |
【健太】健太は美咲の顔を見た。夕日のせいか、頬が赤く見える。いや、違う。これは——
| 話者 | セリフ | 心の声 |
|---|---|---|
| 健太 | …いいよ | やばい、心臓うるさい |
| 美咲 | ほんと!? |
【健太】美咲が嬉しそうに話し始めた。健太は、自分の心臓がやけにうるさいことに気づいていた。
A.3 小説サンプル(心の声・縦配置)
職員室前の廊下 昼休み
【涼太】涼太は職員室のドアの前で立ち止まった。中から担任の声が聞こえる。
| 話者 | セリフ |
|---|---|
| 担任 | 涼太くん、入りなさい |
| 涼太 | 失礼します |
| 担任 | 昨日の件だけど、お母さんから連絡があったよ |
| 涼太 | ……はい |
| 心の声 | やっぱりバレたか |
【涼太】涼太は拳を握りしめた。担任の目がまっすぐこちらを見ている。逃げ場はなかった。
A.4 小説サンプル(心の声・引用ブロック)
屋上 放課後
【太郎】花子が屋上の柵にもたれて立っていた。夕日が彼女の横顔を照らしている。太郎は息を吸った。
【太郎】言っちゃダメだ。言ったら終わる。今のままでいいじゃないか。
| 話者 | セリフ |
|---|---|
| 太郎 | 花子、あのさ |
| 花子 | なに? |
【太郎】やめろ。引き返せ。まだ間に合う。
| 話者 | セリフ |
|---|---|
| 太郎 | 好きだ |
【太郎】言葉が出た瞬間、風が止んだ気がした。花子が振り向く。その表情は、逆光で見えなかった。
A.5 小説サンプル(記憶の断片)
河川敷 夕暮れ
【太郎】太郎はベンチに座り、川面を見つめていた。水面に夕日が揺れている。
【太郎】また思い出してしまう。
あの日、彼女は笑っていた。「また明日ね」と手を振って。桜の花びらが舞っていた。
【太郎】太郎はゆっくりと目を閉じた。あの日の風の匂いが、まだ鼻の奥に残っている気がした。
A.6 小説サンプル(孤立した断片)
いつか届くといいな、この声が。
駅のホーム 夕方
【陽介】水篠がホームの端に立っていた。イヤホンの片方が外れたまま、電車を待っている。
| 話者 | セリフ |
|---|---|
| 水篠 | あ、陽介。帰り? |
| 陽介 | うん。お前も? |
| 水篠 | うん。……今日、長かったね |
【陽介】水篠は小さく笑った。陽介はその横顔を見て、何か言いかけて、やめた。
A.7 台本サンプル
| 場所 | 時間 |
|---|---|
| 病院の屋上 | 深夜 |
| 演出 | 内容 |
|---|---|
| BGM | 静かなピアノ。寂しげな旋律。 |
| SE | 風の音 |
| 話者 | セリフ | 演技指示 |
|---|---|---|
| 里奈 | こんな時間に、何してるの | 静かに。責めるでもなく、ただ問いかけるように。 |
| 和也 | ……別に。星でも見ようかと思って | 振り返らずに。声に力がない。 |
| 里奈 | 嘘つき | 少し笑って。でも目は笑っていない。 |
| 演出 | 内容 |
|---|---|
| モノローグ | 和也 |
星なんか見てない。ただ、ここにいたかっただけだ。
| 演出 | 内容 |
|---|---|
| 間 | 5秒 |
| SE | フェンスに寄りかかる音 |
| 話者 | セリフ | 演技指示 |
|---|---|---|
| 里奈 | ……隣、いい? | 優しく。許可を求めるように。 |
| 和也 | 好きにすれば | 素っ気なく。でも拒絶ではない。 |
| 里奈 | じゃあ、好きにする | 穏やかに。和也の隣に座る。 |
| ナレーション |
|---|
| 二人は何も言わず、夜空を見上げていた。言葉はなくても、隣にいることが全てだった。 |
| 演出 | 内容 |
|---|---|
| BGM | フェードアウト |