付録B. 原則間バッティングマトリクス
B.1 マトリクスの読み方
本マトリクスは、8原則のすべての組み合わせにおいて、原則同士が競合(バッティング)した場合に発生する現象を記述する。行の原則が起点、列の原則が終点である。対角線上のセルは自己適用を表す。
なお、本マトリクス自体が原則間の関係を網羅的に記述しようとする行為であり、分割増殖性(原則6)および文脈依存性(原則7)の適用対象である。
B.2 バッティングマトリクス
| 1. 不滅性 | 2. 自己言及性 | 3. 観測起爆性 | 4. 簡素化抵抗性 | |
|---|---|---|---|---|
| 1. 不滅性 | 自身の複雑性がどこに移転したか不明 | 不滅性の証明が自己言及を要求する | 不滅性を観測すると複雑性が増殖する | 不滅性を簡素化しても複雑性は消えない |
| 2. 自己言及性 | 自己言及の矛盾が不滅的に保存される | 自己言及が自己言及を生成する無限鏡 | 自己言及を観測すると観測自体が自己言及化する | 自己言及を簡素化すると簡素化文が自己言及する |
| 3. 観測起爆性 | 観測で生じた複雑性が不滅的に残留する | 観測行為が自己言及構造を形成する | 観測を観測すると二重起爆する | 観測によって生じた複雑性が簡素化抵抗を獲得する |
| 4. 簡素化抵抗性 | 簡素化で移転した複雑性が不滅的に保存される | 簡素化基準の定義が自己言及を含む | 簡素化の試みが観測として法則を起爆する | 簡素化の基準を簡素化する無限連鎖 |
| 5. 無限後退性 | 6. 分割増殖性 | 7. 文脈依存性 | 8. 汎用自殺性 | |
|---|---|---|---|---|
| 1. 不滅性 | 不滅の複雑性が後退の連鎖を永続させる | 不滅の複雑性が分割のたびに増殖する | 不滅性の適用文脈が定義不能 | 不滅性を汎用化すると主張が自壊する |
| 2. 自己言及性 | 自己言及の解決が無限に後退する | 自己言及を分割すると各断片が自己言及する | 自己言及の成立条件が文脈に依存する | 自己言及を汎用化すると汎用性が自己言及で崩壊する |
| 3. 観測起爆性 | 観測の連鎖が終端せず後退し続ける | 観測対象を分割すると起爆点が増殖する | 観測の有効性が文脈に依存する | 観測を汎用化するとあらゆる行為が起爆する |
| 4. 簡素化抵抗性 | 簡素化の試みが無限に後退する | 簡素化のために分割すると管理が増殖する | 簡素化の基準が文脈によって変動する | 簡素化を汎用化すると何も削れなくなる |
| 1. 不滅性 | 2. 自己言及性 | 3. 観測起爆性 | 4. 簡素化抵抗性 | |
|---|---|---|---|---|
| 5. 無限後退性 | 後退の各段階で複雑性が不滅的に蓄積する | 後退の構造自体が自己言及的である | 後退を観測すると新たな後退層が起爆する | 後退を簡素化しようとすると簡素化が後退する |
| 6. 分割増殖性 | 増殖した各モジュールに不滅の複雑性が宿る | 分割の判断基準が自己言及を含む | 分割結果を観測すると管理複雑性が起爆する | 増殖を簡素化すると簡素化基準が増殖する |
| 7. 文脈依存性 | 文脈の定義に伴う複雑性が不滅的に保存される | 文脈の定義が自己言及を要求する | 文脈を観測すると文脈が変容する | 文脈を簡素化すると文脈情報が欠落する |
| 8. 汎用自殺性 | 自殺した汎用性の残骸が不滅的に残留する | 汎用性の主張自体が自己言及的矛盾を含む | 汎用性を観測すると適用範囲が起爆的に崩壊する | 汎用性を簡素化すると限定化し汎用性が死ぬ |
| 5. 無限後退性 | 6. 分割増殖性 | 7. 文脈依存性 | 8. 汎用自殺性 | |
|---|---|---|---|---|
| 5. 無限後退性 | 後退の終端判定が無限に後退する | 後退の各段階が分割されて増殖する | 後退の発生条件が文脈に依存する | 後退を汎用化するとあらゆる処理が終端しなくなる |
| 6. 分割増殖性 | 増殖したモジュール間の調整が無限に後退する | 分割を分割すると分割が増殖する | 分割の粒度が文脈に依存する | 分割を汎用化すると全てが原子化して意味を失う |
| 7. 文脈依存性 | 文脈の定義が無限に後退する | 文脈の分類体系が分割増殖する | 文脈の定義に必要な文脈が未定義 | 文脈を汎用化すると文脈の意味が消滅する |
| 8. 汎用自殺性 | 汎用性の回復が無限に後退する | 汎用性を分割すると各断片が限定化して死ぬ | 汎用性の有効範囲が文脈に依存する | 汎用性を汎用化すると即死する |
B.3 マトリクスから読み取れる傾向
本マトリクスの全64セルにおいて、競合が解消されるケースは存在しない。すべての組み合わせにおいて、競合は新たな複雑性の生成、無限連鎖の発生、または自己矛盾の形成のいずれかに帰結する。
特に対角線上の8セル(自己適用)は、各原則が自分自身に対して適用された場合にも例外なく問題が発生することを示しており、これは自己言及性(原則2)の普遍的な作用を裏付けている。
また、不滅性(原則1)が関与するセルでは一貫して「複雑性の残留・蓄積」が報告され、汎用自殺性(原則8)が関与するセルでは「機能的死亡」または「機能不全」が報告される傾向がある。この非対称性は、不滅性が複雑性の「存続」を、汎用自殺性が複雑性の「暴走による自壊」を、それぞれ異なる方向から記述していることに起因する。
なお、本マトリクスの完全性(全ての競合パターンを網羅しているか)の検証は、文脈依存性(原則7)により原理的に不完全である。