付録A. 用語集
A.1 本法則の基本用語
| 用語 | 読み | 定義 |
|---|---|---|
| 複雑性 | ふくざつせい | システムやフレームワークに内在する、構造的な入り組みや管理困難さの総体 |
| 複雑性保存 | ふくざつせいほぞん | 複雑性が排除されず、形態を変えて系内に留まり続ける性質 |
| 複雑性移転 | ふくざつせいいてん | ある領域の複雑性が別の領域へ移動する現象 |
| 原則 | げんそく | 本法則を構成する8つの基本的な性質記述 |
| 近似 | きんじ | 本法則が原理的に完全な定式化を持たないことを前提とした、暫定的な記述状態 |
A.2 原則関連用語
| 用語 | 読み | 定義 |
|---|---|---|
| 不滅性 | ふめつせい | 複雑性が消滅せず別の領域に移転するのみであるという性質 |
| 自己言及性 | じこげんきゅうせい | フレームワークが自身に適用された際に、自己検証の不可能性または自己矛盾を生成する性質 |
| 観測起爆性 | かんそくきばくせい | 法則の内部構造を観測する行為自体が法則を発動させる性質 |
| 簡素化抵抗性 | かんそかていこうせい | 簡素化の試みが新たな複雑性を生成し法則を強化する性質 |
| 無限後退性 | むげんこうたいせい | 競合処理の連鎖が原理的に終端しない性質 |
| 分割増殖性 | ぶんかつぞうしょくせい | モジュラー分割が管理複雑性を指数関数的に増大させ得る性質 |
| 文脈依存性 | ぶんみゃくいぞんせい | 文脈なしの検証が構造的に不完全となる性質 |
| 汎用自殺性 | はんようじさつせい | 汎用性の拡大が汎用性自体を毀損する性質 |
A.3 フレームワーク関連用語
| 用語 | 読み | 定義 |
|---|---|---|
| フレームワーク | ふれーむわーく | 問題の整理・解決のために設計された構造化された枠組みの総称 |
| メタフレームワーク | めたふれーむわーく | フレームワークを管理・評価するために設計された上位のフレームワーク |
| モジュラーフレームワーク | もじゅらーふれーむわーく | 機能単位で分割され、必要に応じて組み合わせて使用するフレームワーク |
| フレームワーク強度 | ふれーむわーくきょうど | フレームワークが想定外のケースや例外に対して耐える能力の程度 |
A.4 競合・検証関連用語
| 用語 | 読み | 定義 |
|---|---|---|
| バッティング | ばってぃんぐ | 複数のフレームワークが同一の対象に適用された際に生じる判断の競合 |
| バッティング処理 | ばってぃんぐしょり | フレームワーク間の競合を解決するための処理ルールまたはロジック |
| サンドボックス | さんどぼっくす | フレームワークの検証を安全に行うための、本番に近いが隔離されたテスト環境 |
| 互換性マトリクス | ごかんせいまとりくす | モジュール間の組み合わせ可否を網羅的に記述した対照表 |
| 自己検証 | じこけんしょう | フレームワークが自身の妥当性を自身の内部から検証しようとする行為 |
| 要件定義 | ようけんていぎ | フレームワークが満たすべき条件を明示的に記述する行為 |
A.5 関連する既存概念
| 用語 | 読み | 定義 |
|---|---|---|
| オッカムの剃刀 | おっかむのかみそり | 同等の説明力を持つ仮説が複数ある場合、最もシンプルなものを選ぶべきとする原則 |
| ゲーデルの不完全性定理 | げーでるのふかんぜんせいていり | 十分に強力な形式体系には証明も反証もできない命題が存在し(第一定理)、また自身の無矛盾性を自身の内部で証明できない(第二定理)とする一連の定理。本法則は主に第二定理との構造的類似性を持つ |
| 銀の弾丸はない | ぎんのだんがんはない | ソフトウェア工学における本質的複雑さは単一の手法では解決できないとするフレッド・ブルックスの主張 |
| 自己言及パラドックス | じこげんきゅうぱらどっくす | 文や命題が自分自身に言及することで生じる論理的矛盾の総称 |
| ラッセルのパラドックス | らっせるのぱらどっくす | 「自分自身を含まない集合すべての集合」が自己矛盾を生むことを示した、自己言及パラドックスの代表的事例 |
| エネルギー保存則 | えねるぎーほぞんそく | エネルギーは形態を変えて保存され、生成も消滅もしないとする物理法則。本法則の構造的類似元 |
なお、本用語集が用語を5カテゴリに分類・整理した行為自体が分割増殖性(原則6)の適用対象であり、用語の追加・削除は用語集自体の管理複雑性を増大させる。