付録B:診断マークシート
B-1:使用方法
本マークシートは対象システムの現在地をFallversionの進行段階上で特定するための診断ツールである。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 使用手順 | 1. Main Pipeline診断シート(B-2)を第0段階から順に実施する → 2. Siphon Line診断シート(B-3)を実施する → 3. Normalization Line診断シート(B-4)を実施する → 4. 並行作動要素診断シート(B-5)を実施する → 5. 総合診断テーブル(B-6)に結果を転記する |
| 判定基準 | 各段階につき3〜5項目の観察指標を設定。該当数が過半数以上で「確定」、過半数未満で1項目以上該当の場合は「進行中の疑い」、該当なしで「未到達」と判定する |
| 進行方向の原則 | Fallversionは不可逆的に進行する。上位段階が確定している場合、それ以前の全段階は確定済みと推定する |
| 検証可能性に関する注意 | 第8章で明文化した通り、Erosion・Camouflage・Phantom Immunity・Normalization Lineの自己診断精度は原理的に低い。「該当なし」が「その段階にない」ことを保証しない。空白自体がデータである可能性を常に考慮すること |
B-2:Main Pipeline診断シート
第0段階:Immunity Collapse(防壁消失)
| # | 観察指標 | 該当 |
|---|---|---|
| 1 | 設計意図に反する行為を指摘できる内部機構が存在しない、または機能していない | □ |
| 2 | 設計意図からの逸脱が「例外的措置」として承認された事例がある | □ |
| 3 | 外部からの批判・警告が「内部の問題」として遮断される仕組みがある | □ |
| 4 | 設計意図の守護を職務とする役職・機関が形骸化している | □ |
| 該当数 | 判定 |
|---|---|
| 3〜4 | 確定 |
| 1〜2 | 進行中の疑い |
| 0 | 未到達 |
第0段階下位:Phantom Immunity(免疫の残骸)
| # | 観察指標 | 該当 |
|---|---|---|
| 1 | 監査機関・監督機関が存在するが、是正命令を出した実績がない、または極めて少ない | □ |
| 2 | 内部通報制度が存在するが、通報後に実効的な対応がなされた記録がない | □ |
| 3 | 外部評価・第三者委員会が設置されたが、その勧告が実行されていない | □ |
| 4 | 「安全装置がある」という信頼が、安全装置の実効性を検証しない根拠として機能している | □ |
| 該当数 | 判定 |
|---|---|
| 3〜4 | 確定 |
| 1〜2 | 進行中の疑い |
| 0 | 未到達 |
※Phantom Immunityは免疫の外殻が残存する現象であり、外殻の存在が免疫の有効性と誤認されやすい。該当なしがPhantom Immunity不在を保証しない
第0.5段階:Incubation Period(潜伏)
| # | 観察指標 | 該当 |
|---|---|---|
| 1 | 免疫機能が形骸化しているにもかかわらず、システムの主要機能が表面上正常に動作している | □ |
| 2 | 「問題が起きていない」という事実が、システムの健全性の証拠として引用されている | □ |
| 3 | 設計意図からの小規模な逸脱が散発しているが、個別事象として処理され構造的問題として認識されていない | □ |
| 該当数 | 判定 |
|---|---|
| 2〜3 | 確定 |
| 1 | 進行中の疑い |
| 0 | 未到達 |
※Incubation Periodはシステムが表面上健全に機能している期間であるため、外部からの判定が困難である。該当なしがIncubation Period不在を保証しない
第1段階:Jammer(点火)
| # | 観察指標 | 該当 |
|---|---|---|
| 1 | 設計意図に明確に反する意思決定が運用者によって実行されている | □ |
| 2 | その意思決定が「改善」「効率化」「現実的対応」等の名目で正当化されている | □ |
| 3 | 設計意図との矛盾を指摘する声が存在したが、却下・無視・排除されている | □ |
| 4 | 逸脱行為が一回限りではなく、反復可能な前例として確立されている | □ |
| 該当数 | 判定 |
|---|---|
| 3〜4 | 確定 |
| 1〜2 | 進行中の疑い |
| 0 | 未到達 |
第2段階:Pandemic(感染拡大)
| # | 観察指標 | 該当 |
|---|---|---|
| 1 | Jammerと同種の逸脱が、起点となった部門・領域以外にも拡大している | □ |
| 2 | 逸脱行為を模倣する者が増加している | □ |
| 3 | 逸脱に対する抵抗が組織的・制度的に弱体化している | □ |
| 4 | 「みんなやっている」という認識が形成され始めている | □ |
| 該当数 | 判定 |
|---|---|
| 3〜4 | 確定 |
| 1〜2 | 進行中の疑い |
| 0 | 未到達 |
第2.5段階:Erosion(緩慢浸食)
| # | 観察指標 | 該当 |
|---|---|---|
| 1 | 設計意図を記述した原典文書を参照する頻度が低下している | □ |
| 2 | 設計意図の解釈が世代・部門によって異なり、統一的理解が失われつつある | □ |
| 3 | 「そもそもの目的は何だったか」という問いが発せられなくなっている | □ |
| 4 | 漸次的な変更の累積により、現状と原設計の乖離が拡大しているが、その乖離幅を正確に認識している者がいない | □ |
| 該当数 | 判定 |
|---|---|
| 3〜4 | 確定 |
| 1〜2 | 進行中の疑い |
| 0 | 未到達(※本段階は定義上「検知されないまま進行する」ため、該当なしがErosion不在を保証しない) |
第3段階:Divergence(分裂)
| # | 観察指標 | 該当 |
|---|---|---|
| 1 | システムの運用方針が部門・地域・派閥によって明確に異なっている | □ |
| 2 | 各断片が独自の「正しさ」を主張し、相互に矛盾する運用が並行している | □ |
| 3 | 統一的な意思決定機構が機能せず、合意形成が困難になっている | □ |
| 4 | 「元は一つだった」という歴史的認識が薄れている | □ |
| 該当数 | 判定 |
|---|---|
| 3〜4 | 確定 |
| 1〜2 | 進行中の疑い |
| 0 | 未到達 |
第4段階:Segment(孤立化)
| # | 観察指標 | 該当 |
|---|---|---|
| 1 | 分裂した断片間の情報共有・連携が実質的に停止している | □ |
| 2 | 各断片が独立して存続可能であるかのように振る舞っているが、全体としての機能は喪失している | □ |
| 3 | 断片間の利害対立が構造化され、再統合の試みが失敗している | □ |
| 4 | Siphon Lineによる収奪が各断片の残存価値を枯渇させ、孤立を不可逆にしている | □ |
| 該当数 | 判定 |
|---|---|
| 3〜4 | 確定 |
| 1〜2 | 進行中の疑い |
| 0 | 未到達 |
第5段階:Inversion(反転)
| # | 観察指標 | 該当 |
|---|---|---|
| 1 | システムの実際の機能が、設計意図と正反対の結果を生み出している | □ |
| 2 | 手段が目的化し、本来の目的が完全に忘却されている | □ |
| 3 | 設計意図への回帰を主張する者が「非現実的」「理想主義的」として排除される | □ |
| 4 | システムの「成功指標」が、設計意図とは無関係な指標に置き換わっている | □ |
| 5 | 設計意図を知る者がシステム内にほぼ存在しない | □ |
| 該当数 | 判定 |
|---|---|
| 4〜5 | 確定 |
| 2〜3 | 進行中の疑い |
| 0〜1 | 未到達 |
※Inversionは設計意図と正反対の結果が確定する段階であり、その判定がConvergence以降の進行を事実上確定させる。誤判定の影響が大きいため、他段階の過半数基準(指標4つに対し3該当)より閾値を意図的に高く設定している。
第6段階:Convergence(崩壊収束)
| # | 観察指標 | 該当 |
|---|---|---|
| 1 | 分裂していた各断片が同一の機能不全パターンを示している | □ |
| 2 | 表面的な差異にかかわらず、全断片が同じ構造的問題を抱えている | □ |
| 3 | システム全体の崩壊が不可避であるという認識が内外で共有され始めている | □ |
| 4 | 「改革」「再生」の試みが繰り返されるが、いずれも同一の失敗パターンに収束する | □ |
| 該当数 | 判定 |
|---|---|
| 3〜4 | 確定 |
| 1〜2 | 進行中の疑い |
| 0 | 未到達 |
残留段階:Fallout(長期汚染)
| # | 観察指標 | 該当 |
|---|---|---|
| 1 | 元のシステムは消滅または実質的に機能停止しているが、その影響が後継システム・周辺システムに観察される | □ |
| 2 | 崩壊したシステムの元参加者が、他のシステムにおいて同一の行動パターンを再現している | □ |
| 3 | 崩壊の教訓が「過去の話」として風化し、構造的分析が行われていない | □ |
| 4 | 「かつての理想」への郷愁が、新たなシステム設計の動機として観察される(Design Ghostの兆候) | □ |
| 該当数 | 判定 |
|---|---|
| 3〜4 | 確定 |
| 1〜2 | 進行中の疑い |
| 0 | 未到達 |
再起動段階:Echo(循環)
| # | 観察指標 | 該当 |
|---|---|---|
| 1 | 新たなシステムにおいて、崩壊したシステムと構造的に同一の逸脱パターンが観察される(自己参照型) | □ |
| 2 | 崩壊したシステムのFalloutが、別のシステムのJammerとして機能している兆候がある(相互参照型) | □ |
| 3 | 関係者が前回の崩壊との構造的類似性を認識していない | □ |
| 4 | 「今回は違う」「前回の教訓を活かした」という主張が、構造的根拠なく行われている | □ |
| 該当数 | 判定 |
|---|---|
| 3〜4 | 確定 |
| 1〜2 | 進行中の疑い |
| 0 | 未到達 |
B-3:Siphon Line診断シート
S-1:Appropriation(私物化)
| # | 観察指標 | 該当 |
|---|---|---|
| 1 | 運用者がシステムの資源・権限・成果を、全体設計とは無関係な目的に転用している | □ |
| 2 | 転用が「裁量の範囲内」として正当化されている | □ |
| 3 | 全体設計に基づく資源配分の優先順位が、運用者の利害によって歪められている | □ |
| 該当数 | 判定 |
|---|---|
| 2〜3 | 確定 |
| 1 | 進行中の疑い |
| 0 | 未到達 |
S-2:Scavenging(残骸漁り)
| # | 観察指標 | 該当 |
|---|---|---|
| 1 | 分裂した断片から、運用者が残存する価値(資金・人材・知財・権限等)を選択的に抽出している | □ |
| 2 | 抽出された価値がシステムの修復ではなく、運用者自身の利益に充当されている | □ |
| 3 | 残存価値の抽出が、断片の存続可能性をさらに低下させている | □ |
| 該当数 | 判定 |
|---|---|
| 2〜3 | 確定 |
| 1 | 進行中の疑い |
| 0 | 未到達 |
S-3:Exhaustion(枯渇)
| # | 観察指標 | 該当 |
|---|---|---|
| 1 | 断片に残存する価値(資金・人材・知財・権限等)が実質的にゼロに近づいている | □ |
| 2 | 収奪の対象が消失したことにより、運用者の関心が当該断片から離れている | □ |
| 3 | 断片が「放棄された」状態にあるが、その放棄の原因が収奪にあることが認識されていない | □ |
| 該当数 | 判定 |
|---|---|
| 2〜3 | 確定 |
| 1 | 進行中の疑い |
| 0 | 未到達 |
B-4:Normalization Line診断シート
N-1:Tolerance(許容)
| # | 観察指標 | 該当 |
|---|---|---|
| 1 | 設計意図からの逸脱に対する違和感・批判が減少している | □ |
| 2 | 逸脱を指摘する声が「細かい」「神経質」として処理されている | □ |
| 3 | 「まあ仕方ない」「現実的にはこうなる」という言説が増加している | □ |
| 該当数 | 判定 |
|---|---|
| 2〜3 | 確定 |
| 1 | 進行中の疑い |
| 0 | 未到達(※Normalization Lineは参加者の認識変容であるため、自己診断の精度は原理的に低い) |
N-2:Acceptance(受容)
| # | 観察指標 | 該当 |
|---|---|---|
| 1 | 逸脱が「日常の一部」として受け入れられている | □ |
| 2 | 逸脱の存在を前提とした行動様式・対処法が形成されている | □ |
| 3 | 逸脱がない状態を想像すること自体が困難になっている | □ |
| 該当数 | 判定 |
|---|---|
| 2〜3 | 確定 |
| 1 | 進行中の疑い |
| 0 | 未到達 |
※N-1と同様、参加者自身の認識が変容しているため、自己診断の精度は原理的に低い
N-3:Integration(統合)
| # | 観察指標 | 該当 |
|---|---|---|
| 1 | 逸脱を前提とした制度・規則・手続きが公式に整備されている | □ |
| 2 | 逸脱状態を記述する専用の用語・表現が定着している | □ |
| 3 | 新規参加者への教育・研修が、逸脱を含んだ現状を「正しい運用」として伝達している | □ |
| 4 | 逸脱の記録が「正常な記録」と区別できない形式で蓄積されている | □ |
| 該当数 | 判定 |
|---|---|
| 3〜4 | 確定 |
| 1〜2 | 進行中の疑い |
| 0 | 未到達 |
※制度化された逸脱は『正常な制度』と区別がつかないため、外部からの判定も困難になる
N-4:Inversion of Standard(基準反転)
| # | 観察指標 | 該当 |
|---|---|---|
| 1 | 元の設計意図を主張する者が「古い」「時代遅れ」「非現実的」として退けられている | □ |
| 2 | 逸脱した状態が「改良」「進化」「現代化」として積極的に肯定されている | □ |
| 3 | 原設計への回帰を試みる行為が、システム内で「逸脱」として扱われている | □ |
| 4 | 設計意図の原典文書が事実上参照不能、または参照する動機が消失している | □ |
| 該当数 | 判定 |
|---|---|
| 3〜4 | 確定 |
| 1〜2 | 進行中の疑い |
| 0 | 未到達 |
※基準そのものが反転しているため、反転後の基準に基づく自己診断は原理的に機能しない
B-5:並行作動要素診断シート
Camouflage(隠蔽)
| # | 観察指標 | 該当 |
|---|---|---|
| 1 | 逸脱行為が「正当な業務」「適切な判断」として記録・報告されている | □ |
| 2 | 構造的問題を指摘する試みが、個人の問題・例外的事象として矮小化されている | □ |
| 3 | 運用者自身が崩壊への加担を自覚していない兆候がある | □ |
| 4 | 「問題ない」という報告・評価の根拠がPhantom Immunity(形骸化した免疫機構)に依存している | □ |
| 該当数 | 判定 |
|---|---|
| 3〜4 | 強力に作動中 |
| 1〜2 | 作動中 |
| 0 | 検知されず(※Camouflageの性質上、検知されないことがCamouflage不在を保証しない) |
Acceleration Feedback(加速帰還)
| # | 観察指標 | 該当 |
|---|---|---|
| 1 | 収奪行為(Siphon Line)の拡大とMain Pipelineの進行加速が時間的に相関している | □ |
| 2 | 運用者が崩壊の加速に利益を持っている構造が観察される | □ |
| 3 | 崩壊の進行が新たな収奪機会を生み出し、その収奪がさらなる崩壊を加速させるループが観察される | □ |
| 該当数 | 判定 |
|---|---|
| 2〜3 | 作動中 |
| 1 | 作動の疑い |
| 0 | 検知されず |
B-6:総合診断テーブル
全シートの結果を以下に転記し、対象システムの現在地を総合的に判定する。
Main Pipeline現在地
| 段階 | 段階名 | 判定結果 |
|---|---|---|
| 第0段階 | Immunity Collapse | □確定 □疑い □未到達 |
| 第0段階下位 | Phantom Immunity | □確定 □疑い □未到達 |
| 第0.5段階 | Incubation Period | □確定 □疑い □未到達 |
| 第1段階 | Jammer | □確定 □疑い □未到達 |
| 第2段階 | Pandemic | □確定 □疑い □未到達 |
| 第2.5段階 | Erosion | □確定 □疑い □未到達 |
| 第3段階 | Divergence | □確定 □疑い □未到達 |
| 第4段階 | Segment | □確定 □疑い □未到達 |
| 第5段階 | Inversion | □確定 □疑い □未到達 |
| 第6段階 | Convergence | □確定 □疑い □未到達 |
| 残留段階 | Fallout | □確定 □疑い □未到達 |
| 再起動段階 | Echo | □確定 □疑い □未到達 |
Siphon Line現在地
| 段階 | 段階名 | 判定結果 |
|---|---|---|
| S-1 | Appropriation | □確定 □疑い □未到達 |
| S-2 | Scavenging | □確定 □疑い □未到達 |
| S-3 | Exhaustion | □確定 □疑い □未到達 |
Normalization Line現在地
| 段階 | 段階名 | 判定結果 |
|---|---|---|
| N-1 | Tolerance | □確定 □疑い □未到達 |
| N-2 | Acceptance | □確定 □疑い □未到達 |
| N-3 | Integration | □確定 □疑い □未到達 |
| N-4 | Inversion of Standard | □確定 □疑い □未到達 |
並行作動要素
| 要素 | 判定結果 |
|---|---|
| Camouflage | □強力に作動中 □作動中 □検知されず |
| Acceleration Feedback | □作動中 □疑い □検知されず |
時間軸派生要素・Fallout内部構造
| 要素 | 判定結果 |
|---|---|
| Mutation | □観察あり □観察なし □判定不能 |
| Design Ghost | □観察あり □観察なし □判定不能 |
総合現在地
| 項目 | 記入欄 |
|---|---|
| 対象システム名 | |
| 診断日 | |
| Main Pipeline現在地 | 第_段階:____ |
| Siphon Line現在地 | S-_:____ |
| Normalization Line現在地 | N-_:____ |
| 型分類 | □通常型(Standard) □先天型(Congenital) |
| 接続形態 | □単体(Single) □複合(Compound) |
| Gear Effect | □観察あり □観察なし □判定不能 |
| 特記事項 |