第6章.ブリギッド — スコアリングシステム
ブリギッドでは、ブレットを通過したハルシネーションに対して五軸のスコアリングを実施する。各軸は0から5.0の範囲で、小数点を含む連続値で評価される。
6.1 五軸定義
| 軸 | 名称 | 評価内容 | スコア範囲 |
|---|---|---|---|
| 第1軸 | アフィニティ(親和性) | 現在の文脈にどの程度自然に馴染むか | 0 〜 5.0 |
| 第2軸 | コヒーレンス(一貫性) | 現在の文脈と論理的に一貫しているか | 0 〜 5.0 |
| 第3軸 | ファンクション(作用度) | 実際に何かに対して機能・作用するか | 0 〜 5.0 |
| 第4軸 | インパクト(印象度・影響度) | どれだけ強い印象や影響を与えるか | 0 〜 5.0 |
| 第5軸 | エクステント(程度・広がり) | アイデアとしてどこまで広がり得るか | 0 〜 5.0 |
6.2 五軸の関係性
五軸はそれぞれ独立した評価基準であり、一つの軸が高くても他の軸が低い場合がある。この多面的な評価により、ハルシネーションの性質を立体的に把握することができる。
特にアフィニティとコヒーレンスの関係は重要である。アフィニティが高くコヒーレンスが低い場合、「文脈に自然と馴染むが論理的には繋がっていない」ことを意味する。これは直感的・感覚的なアイデアが数値として可視化された状態であり、エマージェントハルシネーションの醍醐味とも言える創発的着想が現れている可能性がある。逆にアフィニティが低くコヒーレンスが高い場合、「文脈には馴染まないが論理的には筋が通っている」ことを意味し、現在の文脈の外にある有用な知見が示唆される。
quadrantChart
title アフィニティ × コヒーレンス マトリクス
x-axis "アフィニティ 低" --> "アフィニティ 高"
y-axis "コヒーレンス 低" --> "コヒーレンス 高"
quadrant-1 "高品質弾丸"
quadrant-2 "文脈外の知見"
quadrant-3 "要再評価"
quadrant-4 "直感的着想"
6.3 スコアプロファイル例
| 例 | アフィニティ | コヒーレンス | ファンクション | インパクト | エクステント | 解釈 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| A | 4.2 | 1.3 | 1.8 | 4.9 | 0.3 | 文脈に馴染み印象は強烈だが、論理的一貫性・実用性・広がりが低い。直感的に刺さる一発屋型 |
| B | 3.0 | 4.1 | 4.5 | 2.1 | 4.8 | 論理的に一貫し実用的で広がりもあるが、印象が弱い。地味だが汎用性の高い実務型 |
| C | 5.0 | 5.0 | 5.0 | 5.0 | 5.0 | 全軸最高。極めて稀な最高品質の弾丸 |
| D | 0.8 | 0.5 | 0.2 | 4.7 | 3.9 | 現在の文脈にはほぼ無関係で論理的にも繋がらないが、インパクトと広がりがある。種バンク格納時の将来再利用価値が高い |
| E | 4.5 | 0.9 | 3.2 | 3.8 | 2.7 | 文脈に馴染むが論理的根拠が薄い。機能はするしインパクトもある。典型的な創発的着想。コヒーレンスの補強で化ける可能性 |
6.4 スコアリング原則
スコアリングは、ハルシネーションの生成元とは別のAIインスタンスが担当する。これは自己評価による偏りを排除し、相互監査の原則を維持するためである。
スコアは種バンクに格納される際にもハルシネーション本体とともに記録される。将来の再利用時には、新しい文脈のもとで再スコアリングが行われ、同一のハルシネーションが文脈に応じて異なる評価を受ける。これにより、ハルシネーションを固定的な成果物ではなく、文脈によって価値が変動する動的資産として管理する。