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第2章.設計思想

EHARは以下の四つの思想を基盤とする。

2.1 ハルシネーションの価値転換

ハルシネーションは誤りではない。既存の情報にない組み合わせを生成する力であり、制御された環境下では創造性の源泉として機能する。世の中がハルシネーションの撲滅に向かう中で、EHARはその力を意図的に活用する立場を取る。ただし、無秩序にハルシネーションを放置するのではなく、生成と選別の仕組みを厳密に設計することで「安全にぶっ飛べる環境」を構築する。

2.2 創造と批評の分離

生成フェーズでは一切の制約を外し、AIに対して自由なハルシネーションを許容する。選別フェーズではバイナリ判定による厳密な枝切りを行う。この二つを明確に分離することにより、創造性を最大化しながら品質を担保する。一名のAIにハルシネーションを許容すればただの誤情報生成装置になるが、複数のAIが相互に監査しながらハルシネーションを許容する環境では、ブレインストーミングの最強形態が成立する。

2.3 不可逆にしない

情報の圧縮や選別において、最も危険なのは不可逆性である。切り捨てられた情報が実は重要であった場合、その情報は二度と取り戻せない。さらに深刻なのは、切り捨てられたこと自体を誰も認識できなくなる可能性があるという点である。EHARでは、枝切りされたハルシネーションを破棄せず、すべて記録・保管する。現在の文脈で不要と判断されたものが、将来の文脈では決定的に重要になり得るという前提のもと、情報の不可逆性を設計段階で排除する。

2.4 モジュラー設計

EHARは資料型モジュラー設計を採用する。本資料そのものが実行可能なモジュールとして機能し、任意のAIにリンクを読み込ませるだけでEHARのパイプラインを再現・稼働させることができる。これにより、特定のプラットフォームやモデルに依存しないポータブルなシステムとなり、誰でも再現可能なオープンフレームワークとして機能する。