View on GitHub

ダイアロール理論

対話における主導権の獲得・維持・防衛

付録A:用語集

本付録では、ダイアロール理論において使用される全ての用語を定義する。

基本用語

用語 読み方 定義
ダイアロール理論 だいあろーるりろん Dialogue(対話)、Control(制御)、Role(役割)を融合した造語を冠する、対話における主導権の獲得・維持・防衛を体系化した実践的理論
主導権 しゅどうけん 対話において、会話の流れを自らの意図する方向へ導く力
制圧 せいあつ 対話における主導権を確保し、会話の流れを制御する行為
脆弱性 ぜいじゃくせい 認知構造上の限界が対話において弱点として現れたもの

第I章:認知基盤論の用語

用語 読み方 定義
認知基盤論 にんちきばんろん ダイアロール理論の第1層。人間の情報処理能力の物理的限界を公理として定義する
認知容量 にんちようりょう 人間が同時に処理できる情報の総量
認知負荷 にんちふか 情報処理に要する認知資源の消費量
ワーキングメモリ わーきんぐめもり 情報を一時的に保持し操作するための認知システム。容量に限界がある
推論負荷 すいろんふか 論理的推論を行う際に発生する認知負荷
論理の穴 ろんりのあな 認知負荷の増大により生じる論理的一貫性の破綻箇所
前提リセット ぜんていりせっと 推論力を正常に引き上げるために、それまでの前提を一度整理し直す行為
公理 こうり 理論の土台として証明なしに受け入れる基本命題

第II章:脆弱性類型論の用語

用語 読み方 定義
脆弱性類型論 ぜいじゃくせいるいけいろん ダイアロール理論の第2層。対話相手を認知的特性により分類し、各類型の脆弱性を分析する
類型 るいけい 認知的特性に基づく対話者の分類カテゴリ
論理型 ろんりがた 論理的一貫性を重視し、推論の整合性によって主張を構築する傾向を持つ類型
感情型 かんじょうがた 感情的共感や承認を重視し、関係性の維持によって立場を確保する傾向を持つ類型
混合型 こんごうがた 論理型と感情型の両方の特性を持つ類型
論理優勢混合型 ろんりゆうせいこんごうがた 混合型のうち、論理型の特性が優勢なもの
感情優勢混合型 かんじょうゆうせいこんごうがた 混合型のうち、感情型の特性が優勢なもの
均衡混合型 きんこうこんごうがた 混合型のうち、論理型と感情型が同程度のもの
一貫性維持 いっかんせいいじ 過去の発言と現在の発言の間に矛盾がないよう保つ行為
承認欲求 しょうにんよっきゅう 他者から肯定・認められたいという心理的欲求
類型判別 るいけいはんべつ 対話相手がどの類型に属するかを見極める行為
判別指標 はんべつしひょう 類型を判別するための観察可能な兆候

第III章:制圧技法論の用語

用語 読み方 定義
制圧技法論 せいあつぎほうろん ダイアロール理論の第3層。主導権確保の具体的手法を体系化する
オーバーロード おーばーろーど 相手の認知処理能力を超える密度の論点を投入し、意図的に推論品質を低下させる技法
デバッグ・プレス でばっぐ・ぷれす 相手の過去発言を提示し、現在の発言との整合性を問うことで、一貫性維持の負荷を増大させる技法
インセプション誘導 いんせぷしょんゆうどう 相手が「自力で気づいた」と錯覚するようにヒントを配置し、意図した方向へ思考を誘導する技法
感情の綱引き かんじょうのつなひき 感情型の相手に対して「寄り添い」と「突き放し」を交互に行い、主導権を獲得する技法
承認のアンカー しょうにんのあんかー 相手の発言に対して即座に肯定的反応を示すことで、承認欲求を充足させ、依存関係を構築する技法
寄り添い よりそい 相手の感情や主張に共感を示す行為
突き放し つきはなし 寄り添いの後に、異なる見解を示して距離を作る行為
ドーパミン報酬 どーぱみんほうしゅう 快感や達成感に伴って分泌される神経伝達物質による心理的報酬
過去ログ かころぐ 対話における相手の過去の発言記録
暗号型配置 あんごうがたはいち 気づく人だけが気づく形式でヒントを埋め込む技術
断片型配置 だんぺんがたはいち 結論の断片を複数箇所に散りばめる技術
反語型配置 はんごがたはいち あえて逆を主張し、相手に否定させる技術
質問型配置 しつもんがたはいち 誘導的な質問で思考方向を限定する技術
アンカー設置 あんかーせっち 継続的に肯定反応を供給し、依存の土台を作る段階
アンカー回収 あんかーかいしゅう 形成された依存関係を利用して影響力を行使する段階

第IV章:防衛機構論の用語

用語 読み方 定義
防衛機構論 ぼうえいきこうろん ダイアロール理論の第4層。自己の主導権を守る技術を提供する
フェイルオーバー ふぇいるおーばー 主系統の主張が崩れた場合に備え、副系統の主張を常に準備しておく防衛機構
主系統 しゅけいとう 本来主張したい内容を持つ主要な論理ライン
副系統 ふくけいとう 主系統が崩れた場合に切り替える代替の論理ライン
系切り替え けいきりかえ 主系統から副系統へ移行する行為
負荷分散の原則 ふかぶんさんのげんそく 自己の認知負荷を適切に管理し、オーバーロード状態に陥ることを防ぐ防衛機構
自己オーバーロード じこおーばーろーど 自分自身が認知容量の限界を超え、判断力が低下する状態
論点の限定 ろんてんのげんてい 一度に扱う論点を意図的に絞る負荷管理技術
記録の外部化 きろくのがいぶか 重要な情報を記憶ではなくメモ等に記録する負荷管理技術
感情負荷 かんじょうふか 感情的反応によって生じる認知資源の消費

第V章:環境設計論の用語

用語 読み方 定義
環境設計論 かんきょうせっけいろん ダイアロール理論の第5層。直接介入せず対話の場そのものを設計する原則
情報勾配 じょうほうこうばい 対話空間における情報の配置によって生じる「思考の流れやすさ」の傾斜
勾配設計 こうばいせっけい 情報の配置・強調・省略・関連づけにより思考の流れを方向づける技術
選択的提示 せんたくてきていじ 結論に至りやすい情報のみを提示する技術
順序制御 じゅんじょせいぎょ 情報を特定の順序で並べて思考の流れを限定する技術
空白の配置 くうはくのはいち あえて情報を欠落させ、相手に自ら埋めさせる技術
対比構造 たいひこうぞう 望ましい選択肢を優位に見せる情報配置
非露出の原則 ひ・ろしゅつのげんそく 誘導者・設計者としての立ち位置を相手に認識させないことで影響力を最大化する原則
露出レベル ろしゅつれべる 誘導者としてどの程度認識されているかの段階
役割の拒否 やくわりのきょひ 定義可能な役割に収まらないことで監視と期待を回避する技術
痕跡の消去 こんせきのしょうきょ 自分の意図が見える発言を避け、誘導の証拠を残さない技術
間接的関与 かんせつてきかんよ 直接発言せず場の構造だけを調整する技術
帰属の分散 きぞくのぶんさん 成果が特定の個人に帰属しないようにする技術

終章:理論の限界と倫理の用語

用語 読み方 定義
適用限界 てきようげんかい 理論が有効に機能しない状況や条件
権力的限界 けんりょくてきげんかい 相手が圧倒的な権力を持つ場合に生じる限界
参加的限界 さんかてきげんかい 相手が対話を拒否する場合に生じる限界
認知的限界 にんちてきげんかい 相手が類型に当てはまらない場合に生じる限界
時間的限界 じかんてきげんかい 十分な対話時間がない場合に生じる限界
情報的限界 じょうほうてきげんかい 相手の情報が全くない場合に生じる限界
自己適用問題 じこてきようもんだい 理論を知る者同士の対話で技法の有効性が減少する現象
建設的使用 けんせつてきしよう 相互理解や合意形成など、対話をより良くするための理論の使用
破壊的使用 はかいてきしよう 相手の操作・搾取など、関係性を損なう理論の使用
禁忌事項 きんきじこう 理論の本来の目的を逸脱する使用として禁じられる行為

関連学問用語

用語 読み方 定義
非形式論理学 ひけいしきろんりがく 形式的な記号論理ではなく、実際の議論や対話における推論を分析する学問
認知科学 にんちかがく 人間の知覚・記憶・思考などの認知プロセスを研究する学問
社会心理学 しゃかいしんりがく 社会的状況における人間の心理と行動を研究する学問
論証理論 ろんしょうりろん 対話における主張と反論の構造を研究する学問
弁証法 べんしょうほう 対話を通じて真理に近づく、または矛盾を明らかにする技法・哲学